会社設立を会計士に依頼するメリットは?税理士との違いや費用相場を解説

会社設立を会計士と税理士のどちらに依頼すべきか迷っていませんか?

この記事では、会社設立を公認会計士に依頼するメリットや税理士との違い、費用相場をわかりやすく解説します。

結論として、将来的なIPO(上場)や大規模な資金調達、財務戦略の構築を目指すなら、会計士への依頼が最適です。

この記事を読めば、あなたの事業規模や目的に合った最適な専門家の選び方が明確になり、起業手続きから設立後の顧問契約、経営サポートまでをスムーズに軌道に乗せる方法が分かります。

1. 会社設立を会計士に依頼する5つのメリット

会社設立を検討する際、専門家への依頼先として公認会計士(以下、会計士)が有力な選択肢となります。

会計士は監査や財務のプロフェッショナルであり、単なる税務申告の代行にとどまらない多角的なサポートを提供できるのが強みです。

起業初期から会計士をパートナーに迎えることで、事業の成長スピードを加速させ、経営の安定性を高めることができます。

ここでは、会社設立を会計士に依頼する5つの具体的なメリットについて詳しく解説します。

1.1 資金調達や融資のサポートに強い

会社設立初期において、多くの起業家が直面するのが「資金繰り」の課題です。会計士に依頼する最大のメリットの一つは、日本政策金融公庫や民間金融機関からの融資、さらにはベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達を有利に進められる点にあります。

融資の審査を通過するためには、実現可能性が高く、論理的な「創業計画書(事業計画書)」の作成が不可欠です。

会計士は財務の専門知識を駆使し、金融機関が納得するキャッシュフロー予測や収益計画を数値で裏付けをもって作成します。

また、面談時のアドバイスや必要書類の準備も徹底してサポートするため、融資の実行確率が飛躍的に高まります。

項目自分で申請する場合会計士のサポートを受ける場合
計画書の精度主観的な予測になりやすく、数値の根拠が弱い客観的な市場分析と財務理論に基づいた高精度な計画書
金融機関の信頼度実績がないため、厳格な審査が行われる専門家の署名・サポートがあるため、信頼性が向上する
準備の手間必要書類の調達や作成に多大な時間がかかる必要書類のリストアップから作成まで効率的に進められる

1.2 中長期的な財務戦略や経営計画の策定ができる

会計士は、過去の取引を記録する「記帳」だけでなく、未来の数値を予測して経営をコントロールする「管理会計」のスペシャリストです。

会社設立直後から、3年、5年先を見据えた中長期的な財務戦略を構築することは、企業の生存率を上げるために極めて重要です。

会計士は、売上目標に対する最適なコスト配分、設備投資のタイミング、適切な役員報酬の設定など、企業の成長段階に応じた財務シミュレーションを行います。

経営者は感覚に頼る経営から脱却し、数字に基づいた客観的な意思決定を行えるようになります。

1.3 将来的なIPOやM&Aを見据えた体制づくりが可能

将来的に株式公開(IPO)を目指している場合や、事業を成長させて他社へM&A(合併・買収)による売却を検討している場合、会社設立の初期段階からの準備が勝負を分けます。

多くの公認会計士は、監査法人において上場企業の監査やIPO支援、M&Aにおける財務デューデリジェンス(企業調査)に携わった経験を持っています。

そのため、設立当初からIPOに耐えうる強固な内部統制システムや、透明性の高い会計基準(企業会計基準)を導入することが可能です。

後から会計体制を修正するには莫大なコストと時間がかかるため、最初から会計士の指導のもとで組織を設計できることは大きなアドバンテージとなります。

1.4 記帳代行から決算までワンストップで任せられる

会社を設立すると、日々の領収書の整理、会計ソフトへの入力、毎月の試算表作成、そして年一回の決算書の作成など、膨大な会計業務が発生します。

会計士に依頼することで、これらのバックオフィス業務をすべて代行してもらうことができます。

さらに、多くの公認会計士は税理士登録も行っているため、法人税や消費税などの複雑な税務申告(確定申告)までワンストップで依頼が可能です。

これにより、経営者は慣れない事務作業に時間を奪われることなく、本業である営業活動や商品開発に100%集中できる環境を整えられます。

1.5 会社設立に関わる複雑な手続きの手間を削減できる

法人を設立するためには、定款(ていかん)の作成、公証役場での定款認証、法務局への登記申請、さらには税務署や自治体への開業届の提出など、数多くの法的な手続きをクリアしなければなりません。

会計士に会社設立を依頼すれば、これらの複雑な書類作成や手続きを代行、あるいは提携する司法書士や行政書士と連携してスムーズに進めてくれます。

書類の不備によるタイムロスを防ぎ、最短ルートで会社を設立することが可能です。

設立時に必要な主な手続きと書類は以下の通りです。

手続きの段階主な必要書類・作業専門家によるサポート内容
設立準備定款の作成、印鑑証明書の準備事業目的に不備がないかリーガルチェック
登記申請設立登記申請書、登録免許税の納付提携司法書士による迅速な代理申請
設立後手続き法人設立届出書、青色申告承認申請書税務署や自治体への各種届出の作成・提出代行
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2. 会社設立における会計士と税理士の決定的な違い

2.1 公認会計士と税理士の資格と業務範囲の違い

公認会計士と税理士は、どちらも「お金」に関わる国家資格であり、混同されがちですが、その設立目的や主な業務範囲には明確な違いがあります。

公認会計士は、主に大企業や上場企業の財務諸表が適正であるかを第三者の立場から検証する「監査」を独占業務とする会計のプロフェッショナルです。

これに対して税理士は、個人事業主や中小企業の納税に関わる手続きを代理で行う「税務」を独占業務とする税金のプロフェッショナルです。

なお、公認会計士の資格を持つ人は、税理士会に登録を行うことで税理士業務を行うことも可能となっています。

比較項目公認会計士税理士
主な役割企業の財務状況が適正かを検証する(監査・会計)正しい納税と節税のサポートを行う(税務)
独占業務財務諸表の「監査」税務代理、税務書類の作成、税務相談
得意とする領域財務分析、内部統制の構築、IPO・M&A支援節税対策、記帳代行、確定申告・決算書の作成
主な対象顧客上場企業、大企業、上場を目指すスタートアップ中小企業、小規模事業者、個人事業主

2.2 会社設立の段階でどちらに相談すべきか

会社設立の段階で、どちらの専門家に相談すべきかは、起業する会社が目指す「将来の規模」や「成長スピード」によって決まります。

一般的な中小企業や個人商店、まずは身の丈に合った規模で安定した経営を目指す場合は、税務の専門家である税理士に相談するのが最適です。

会社設立時の税務署への各種届出や、日々の記帳、年一回の決算申告をスムーズかつ正確に行うための実務的なサポートを得られます。

一方で、将来的に「ベンチャーキャピタルなど外部からの資金調達を予定している」「数年以内に株式公開(IPO)を目指す」「M&Aによる事業拡大を視野に入れている」といったビジョンがある場合は、設立当初から公認会計士に相談することを強くおすすめします

2.3 税務申告だけでなく財務コンサルティングを求めるなら会計士

会社経営において、税金を計算して申告する「税務」と、資金の流れを分析して経営判断に活かす「財務」は似て非なるものです。

税理士は「過去の取引結果」をベースに、いかに正しく納税し、合法的に節税するかという視点(税務)に長けています。

これに対し、公認会計士は「未来の経営」を見据え、企業の財務データを分析して資金繰りの改善や事業計画の策定を支援する財務コンサルティングを得意としています。

単に税金の申告業務を代行してもらうだけでなく、経営の意思決定に直結するアドバイスや、銀行融資を有利に進めるための財務体質の強化を求める場合は、公認会計士が強力なパートナーとなります。

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3. 会計士に会社設立を依頼する場合の費用相場

会社設立を公認会計士に依頼するにあたって、最も気になるのが「どのくらいの費用がかかるのか」という点ではないでしょうか。

会計士に支払う費用は、大きく分けて「会社設立手続きの代行にかかるスポット費用」と、設立後に継続して発生する「顧問契約の費用」の2種類があります。

それぞれの費用相場を正しく把握し、予算計画を立てる際の参考にしてください。

3.1 会社設立手続きの代行にかかる手数料の相場

会社設立の手続きを会計士に依頼する場合、会計士自身が書類作成の相談に乗り、実際の登記申請は提携している司法書士が共同で行う形が一般的です。

これは、登記申請の代行業務が司法書士の独占業務であるためです。

会社設立時には、国に支払う「法定費用(実費)」と、専門家に支払う「代行手数料」が発生します。

株式会社と合同会社における費用相場の違いは以下の通りです。

費用項目株式会社の場合合同会社の場合
法定費用(登録免許税・定款認証代など)約20万円〜24万円約6万円
会計士への代行手数料(提携司法書士費用含む)約5万円〜15万円約3万円〜10万円
実質負担総額の目安約25万円〜39万円約9万円〜16万円

なお、電子定款を利用して申請を行う場合、紙の定款で必要となる印紙代4万円を節約することが可能です。

多くの会計士事務所は電子定款に対応しているため、個人で手続きを行うよりも実質的な手数料負担を抑えられるケースがあります。

3.2 顧問契約を結ぶ場合の月額顧問料と決算料の目安

会社を設立した後は、毎月の帳簿づけ(記帳)や税務申告、決算書の作成が必要になります。

これらを継続して会計士に依頼する場合、顧問契約を結ぶのが一般的です。

公認会計士は、一般的な税理士業務に加えて、高度な財務分析や経営計画の策定、資金繰り対策などのコンサルティング業務を行うため、税理士単独の顧問料と比較してやや高めに設定される傾向にあります。

売上規模やサポート内容に応じた一般的な費用相場は以下の通りです。

契約形態・項目費用の目安(年間売上5,000万円未満を想定)主な業務内容
月額顧問料3万円〜8万円 / 月試算表の作成、財務状況の分析、経営計画のアドバイス、資金繰り相談
決算申告料(年1回)15万円〜40万円 / 回法人税・地方税・消費税の確定申告書作成、決算書の作成
年間合計額の目安約50万円〜130万円 / 年月次サポートおよび年1回の決算申告を含む総額

上記の金額はあくまで目安であり、会社の規模(売上高や取引件数)が大きくなれば、その分作業量やリスクが増えるため、顧問料や決算料もスライド式に上昇します。

また、記帳代行(領収書や通帳のコピーを渡して入力を丸投げする業務)を依頼する場合は、別途月額1万円〜3万円程度の記帳代行手数料が加算されるのが一般的です。

3.3 会計士への依頼費用を抑えるためのポイント

会社設立初期は、できる限り手元のキャッシュを残しておきたいものです。

会計士への依頼費用を最小限に抑えるためには、以下の3つのポイントを意識するとよいでしょう。

3.3.1 設立後の顧問契約を前提とした「セット割引」を活用する

多くの会計士事務所では、会社設立手続き単体での依頼ではなく、設立後の顧問契約をセットで申し込むことを条件に、会社設立の手数料を実質0円にするキャンペーンを実施しています。
設立後にどのみち顧問契約を結ぶ予定であれば、このセットプランを利用することで初期費用を大幅に抑えることができます。

3.3.2 クラウド会計ソフトを導入して自計化を図る

会計士に日々の取引入力(記帳代行)まで依頼すると、毎月の費用がかさみます。
そこで、「マネーフォワード クラウド会計」や「freee」などのクラウド会計ソフトを導入し、自社で入力作業を行う(自計化する)ことで、記帳代行費用を削減し、純粋な顧問料のみに抑えることができます。
会計士側もクラウドでのデータ共有により監査や指導がスムーズになるため、推奨している事務所が多いです。

3.3.3 面談の頻度やサポート範囲を調整する

毎月会計士と直接会って面談を行う契約は、費用が高くなりやすいです。
これを「3ヶ月に1回の面談」や「オンライン(Zoom等)での面談のみ」に変更することで、月額顧問料を数万円単位で引き下げられる可能性があります。
自社の経営状況や、自分自身でどこまで財務管理ができるかに応じて、最適なサポートプランを設計してもらうよう交渉してみましょう。

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4. 会計士に会社設立を依頼する際のデメリットと注意点

会社設立において公認会計士は非常に頼もしい存在ですが、すべての起業家にとって最適な選択肢とは限りません。

依頼する前には、デメリットや注意点についても十分に理解しておくことが重要です。

ここでは、会計士に依頼する際の2つの主なデメリットについて詳しく解説します。

4.1 税理士と比較して顧問料などの費用が高くなる傾向がある

公認会計士に会社設立やその後の顧問税務を依頼する場合、一般的な税理士事務所と比較して顧問料や各種手数料などの費用が高くなる傾向があります。

公認会計士は、監査や財務コンサルティング、IPO支援といった高度な専門知識を有しているため、その専門性に見合った報酬体系が設定されていることが多いためです。

特に、設立初期で売上が安定していない時期においては、固定費となる顧問料の負担は無視できません。

税理士と公認会計士の一般的な費用相場の違いを以下の表にまとめました。

項目一般的な税理士事務所公認会計士事務所(コンサルティング込み)
月額顧問料約20,000円〜50,000円約50,000円〜100,000円以上
決算申告料月額顧問料の4〜6ヶ月分月額顧問料の5〜6ヶ月分、または個別見積もり
主な提供サービス税務申告、記帳代行、一般的な税務相談税務申告に加え、財務分析、経営計画策定、資金調達支援など

このように、提供されるサポートの質や範囲が異なるものの、単純なコスト比較では公認会計士の方が高くなりやすいという点に注意が必要です。

予算に余裕がないスタートアップ初期段階では、この費用差が経営を圧迫する要因になり得ます。

4.2 小規模な会社設立ではオーバースペックになる可能性がある

公認会計士の強みは、大企業の監査や、中長期的な財務戦略、IPO(新規公開株)支援、M&Aといった「攻めの財務」にあります。

しかし、個人事業主からの法人成りや、家族経営のプライベートカンパニー、当面は事業拡大を予定していない小規模な会社設立においては、公認会計士の高度なスキルがオーバースペックになってしまう可能性が高いです。

小規模な会社経営において日常的に必要となるのは、日々の帳簿付け(記帳代行)や、年末調整、確定申告・決算書の作成といった「守りの税務」です。

これらの業務は税理士の独占業務であり、公認会計士も税理士登録をすることで行えますが、公認会計士が得意とする高度な財務コンサルティングの出番はほとんどありません。

自社の事業規模や将来のビジョンを冷徹に見極め、「高度な財務アドバイスが必要か、それとも日々の税務処理だけで十分か」を慎重に判断する必要があります。

目的に合わない過剰なサービスに対して高い報酬を支払い続けることは、避けるべき注意点と言えます。

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5. 会社設立を会計士に依頼すべき起業家の特徴

会社設立時に税理士ではなく公認会計士を選ぶべきかどうかは、起業家が描く将来のビジョンや事業規模のロードマップによって明確に分かれます。

ここでは、会計士に依頼すべき起業家の具体的な特徴を詳しく解説します。

5.1 将来的に上場や外部からの資金調達を目指す場合

将来的な事業拡大を見据え、スタートアップとして急成長を目指す起業家は、設立当初から公認会計士のサポートを受けるべきです。

5.1.1 IPO(新規上場)を視野に入れている

将来的に株式公開(IPO)を目指す場合、上場審査に耐えうる厳格な会計基準の適用と内部統制の構築が必須となります。
公認会計士は監査法人での監査経験を通じて、上場審査で求められる水準を熟知しているため、逆算した組織設計や会計制度の導入を設立初期からスムーズに進めることができます。

5.1.2 ベンチャーキャピタルや金融機関からの大規模な資金調達を計画している

ベンチャーキャピタル(VC)からの出資や、政府系・民間金融機関からの億単位の融資を受けるためには、信頼性の高い事業計画書と財務諸表の提示が求められます。
公認会計士が作成・監修した財務モデルは、資金調達の成功率を飛躍的に高める要因となります。

5.2 財務分析に基づいた経営アドバイスが欲しい場合

日々の記帳や税務申告といった過去の数値を整理する作業にとどまらず、未来の経営判断に直結する財務コンサルティングを求める起業家も、会計士への依頼が適しています。

5.2.1 管理会計を導入して意思決定のスピードを上げたい

税務会計が「税金を計算するための会計」であるのに対し、管理会計は「経営者が意思決定をするための会計」です。
部門別の採算管理や限界利益の分析を行い、どの事業に投資すべきかをデータに基づいて判断したい起業家にとって、会計士の専門知識は強力な武器になります。

5.2.2 キャッシュフロー経営を徹底し、黒字倒産を防ぎたい

売上が立っていても手元の資金がショートする「黒字倒産」を防ぐためには、高度な資金繰り管理が必要です。
会計士は、将来のキャッシュイン・キャッシュアウトを予測するシミュレーションモデルを構築し、健全な財務体質の維持をサポートします。

5.3 【比較表】税理士と会計士のどちらに依頼すべきかの判断基準

自社の状況に合わせてどちらに依頼すべきか迷った際は、以下の基準を参考に判断してください。

起業家のニーズ・目的推奨される専門家主な理由
節税対策や日々の税務申告を低コストで任せたい税理士中小企業の税務に特化しており、顧問料を抑えやすい。
数年以内のIPO(上場)やM&Aによる売却を計画している公認会計士上場基準の会計や内部統制、デューデリジェンスに対応できる。
VCからの出資や、大規模な融資による急成長を目指す公認会計士投資家や金融機関に対して信頼性の高い財務計画を提示できる。
管理会計を導入し、財務データに基づく経営判断を行いたい公認会計士財務分析やコンサルティング業務を得意としている。

6. まとめ

会社設立を公認会計士に依頼する最大のメリットは、単なる税務申告や設立手続きの代行にとどまらず、中長期的な財務戦略の策定や資金調達、将来的なIPO(新規上場)を見据えた高度なコンサルティングを受けられる点にあります。

税理士と比較して顧問料などの費用は高くなる傾向がありますが、将来的に事業の大幅な拡大や外部からの大規模な資金調達を目指す起業家にとっては、会計士への依頼が最適な選択肢となります。

自社の目指す成長スピードや事業規模に合わせて、最適な専門家を選びましょう。

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