副業の利益が増え、「そろそろ会社設立すべき?」とお悩みではありませんか?
結論から言うと、副業の年間所得(利益)が800万円を超えたタイミングが法人化の最適な目安です。
所得税と法人税の税率差により、高い節税効果を得られるようになります。
本記事では、年収別の税金シミュレーションをはじめ、経費計上や所得分散といったメリット、維持費用や本業への会社バレ対策などのデメリットを徹底比較します。
設立手順や社会保険の注意点まで網羅的に解説するため、損をしないベストな判断基準がわかります。
1. 副業で稼いだら会社設立すべき?法人化を検討する年収・利益の判断基準
副業の収入が増えてくると、どのタイミングで会社を設立(法人化)すべきか悩む方が少なくありません。
個人事業主としての所得が増えるほど税率が上がる日本の税制において、法人化は重要な選択肢となりますが、売上規模だけで安易に判断すると維持コストなどで損をしてしまう恐れがあります。
法人化を検討する最も確実な基準は、売上そのものではなく経費を差し引いた後の「所得(利益)」と「本業を含めた総所得」です。
ここでは、具体的な金額の目安やシミュレーションをもとに、法人化すべき判断基準をわかりやすく解説します。
1.1 副業の所得(利益)が年間800万円を超えたときが会社設立の目安
一般的に、副業における年間の課税所得(売上から経費や各種控除を引いた利益)が800万円を超えたタイミングが会社設立の大きな目安とされています。
この「800万円」という数字には、日本の所得税と法人税の税率構造が深く関係しています。
個人の所得税は所得が上がるほど税率が高くなる「累進課税」が採用されており、住民税と合わせると最高税率は約55%に達します。
一方で、法人にかかる法人税等の実効税率は、中小企業の場合、所得800万円以下の部分は約21〜25%程度、800万円を超える部分でも約33〜34%程度で頭打ちとなります。
| 区分 | 個人の所得税・住民税(最高税率) | 法人実効税率(中小法人) |
|---|---|---|
| 所得800万円以下の部分 | 約20%〜33%(課税所得に応じて変動) | 約21%〜25% |
| 所得800万円超の部分 | 約33%〜55%(最大55%まで上昇) | 約33%〜34%(一定で頭打ち) |
課税所得が800万円を超えると個人の最高税率が法人の実効税率を大きく上回るため、会社を設立して法人税率を適用させたほうが手元に残る資金が多くなる分岐点となります。
また、年間の売上が1,000万円を超えると2年後に消費税の納税義務が発生するため、売上高1,000万円の到達も会社設立を検討するもう一つのトリガーとなります。
1.2 本業と副業を合わせた年収別の税金シミュレーション
サラリーマンが副業を行う場合、個人事業主の所得税率は「本業の給与所得」と「副業の事業所得・雑所得」を合算した総所得に対して計算されます。
そのため、本業の年収が高い人ほど、副業の利益が少なくても高い税率が適用されてしまいます。
以下は、本業の年収が600万円(給与所得控除後の所得約436万円)のサラリーマンが、副業で利益を出した場合の年間税負担(所得税・住民税)の概算シミュレーションです。
| 副業の年間利益(所得) | 本業+副業の課税所得(目安) | 個人の適用税率(所得税+住民税) | 個人での年間税額(概算) | 法人化した場合の税額(概算) |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 約650万円 | 30%(所得税20%+住民税10%) | 約115万円 | 約120万円(維持費含む) |
| 500万円 | 約850万円 | 33%(所得税23%+住民税10%) | 約180万円 | 約170万円 |
| 800万円 | 約1,150万円 | 43%(所得税33%+住民税10%) | 約305万円 | 約245万円 |
| 1,000万円 | 約1,350万円 | 43%(所得税33%+住民税10%) | 約390万円 | 約300万円 |
シミュレーションの通り、副業利益が300万円程度であれば個人事業主のままでも税負担の差はわずかですが、副業利益が500万円を超えてくると法人化したほうが税負担を抑えられる可能性が高くなり、800万円を超えると年間で60万円以上の差が生じるケースがあります。
1.3 個人事業主のまま続ける場合と会社設立した場合の税負担の違い
副業を個人事業主として継続するか、法人化して会社を設立するかでは、適用される税金の種類や計算方法が根本から異なります。
| 項目 | 個人事業主のまま続ける場合 | 会社設立(法人化)した場合 |
|---|---|---|
| 課税対象 | 本業給与と副業所得の合計額 | 会社が稼いだ法人の利益 |
| 主な税金 | 所得税(累進課税)、住民税、個人事業税 | 法人税、法人住民税、法人事業税 |
| 最高税率 | 最大約55%(所得税45%+住民税10%) | 最大約33〜34%(実効税率) |
| 赤字の場合の税金 | 所得税・住民税は非課税 | 法人住民税の均等割(年約7万円〜)が発生 |
| 所得の分離 | 不可(すべて合算して総合課税) | 可能(個人の給与と法人の利益を完全分離) |
個人事業主のまま副業を続ける場合、本業の収入が高いほど副業の利益に対して高い税率が課される「総合課税」の仕組みから逃れることができません。
一方で会社を設立すると、本業の給与所得と副業の事業利益を切り離して管理できるため、個人の税率跳ね上がりを防ぎ、法人のフラットな税率を活用して手元資金を効率的に残せるようになります。
利益水準や今後の事業成長予測を照らし合わせ、適切なタイミングを見極めることが肝要です。
2. 副業で会社設立・法人化する主なメリット

副業の利益が大きくなってきた段階で会社を設立(法人化)すると、税制面や事業運営面で数多くの恩恵を受けられます。
個人事業主のまま副業を続ける場合と比較して、具体的にどのようなメリットがあるのかを網羅的に解説します。
2.1 法人税の実効税率適用による大幅な節税効果
副業を法人化する最大のメリットのひとつが、税率構造の違いによる節税効果です。
個人の所得税は所得が上がるほど税率が高くなる「累進課税」が採用されており、住民税と合わせると最高税率は約55%まで跳ね上がります。
本業の給与所得と副業の事業所得が合算されて税額が計算されるため、副業で稼ぐほど本業分も含めた全体の税負担が重くなります。
一方で、法人の所得に課される法人税などの実効税率は、中小企業の場合でおよそ20%〜34%程度で頭打ちになります。
年間の課税所得が一定額を超えた場合、法人税率のほうが圧倒的に低くなるため、手元に残る資金を大幅に増やすことが可能です。
| 区分 | 個人事業主(所得税・住民税) | 法人(法人税等の実効税率) |
|---|---|---|
| 課税方式 | 超過累進課税(5%〜45%+住民税10%) | 比例税率(所得金額に応じてほぼ一定) |
| 最高税率 | 最大約55% | 最大約34%前後(中小法人の場合) |
| 所得800万円以下の税率 | 所得に応じて段階的に上昇(23%〜33%程度) | 軽減税率が適用され実効税率は約21%〜25% |
2.2 経費にできる範囲が広がり柔軟な経費計上が可能
法人を設立すると、個人事業主と比べて経費として認められる対象が大幅に広がります。
事業活動に必要な支出を経費に算入することで、合法的に法人の利益を圧縮し、納税額を抑えることができます。
2.2.1 役員社宅制度の活用
会社名義で賃貸物件を契約し、役員社宅として自身に貸し出すことで、家賃の相当割合(5割〜8割程度)を法人の経費として計上できます。
個人負担分のみを会社に支払えばよいため、個人の生活費を削減しながら会社の所得を減らす仕組みが作れます。
2.2.2 出張旅費規程による日当の支給
会社であらかじめ「出張旅費規程」を作成しておけば、副業の出張時に役員へ日当(出張手当)を支給できるようになります。
支給した出張日当は会社側では全額経費になり、受け取る個人側では非課税所得となるため、所得税・住民税をかけることなく会社から個人へ資金を移すことが可能です。
2.2.3 役員退職金の積立と生命保険の活用
法人名義で契約する生命保険の一部保険料を経費計上しながら、将来の役員退職金として積み立てることが可能です。
退職金は税法上「退職所得控除」や「2分の1課税」といった極めて優遇された税制が適用されるため、最終的な税負担を大幅に抑えて手元資金を残せます。
2.3 役員報酬や家族への給与支払いで所得分散ができる
会社設立後は、自分自身への役員報酬を設定することで「給与所得控除」を適用できます。
個人事業主の事業所得には給与所得控除がありませんが、法人から役員報酬として受け取ることで控除枠を利用でき、税制上のメリットを享受できます。
さらに、副業の事業を手伝っている配偶者や親族を法人の役員や従業員に設定し、給与を支払うことで1箇所に集中していた所得を家族間で分散させることが可能です。
所得税の累進課税を回避し、世帯全体としての税率を引き下げて手取り額を最大化できます。
2.4 社会的信用が向上し取引先開拓や銀行融資に有利
個人事業主と比較して、法人(株式会社や合同会社)は商業登記簿によって代表者や資本金、所在地などの情報が一般に開示されるため、対外的な信用度が格段に高くなります。
企業によってはコンプライアンスや社内規定により、個人事業主とは直接契約を結ばず法人とのみ取引を行う「法人限定」のルールを設けているケースも少なくありません。
会社組織にすることで、大手企業からの案件獲得や販路拡大のチャンスが広がります。
また、事業規模を拡大する際、金融機関からの融資やビジネスローンの審査において、法人決算書のほうが個人の確定申告書よりも財務内容の透明性が評価されやすく、資金調達が有利に進む傾向があります。
2.5 赤字(欠損金)の繰越控除期間が最長10年に延長される
青色申告を行っている法人の場合、事業で生じた赤字(税務上の欠損金)を翌事業年度以降に繰り越して、将来の黒字と相殺することができます。
この繰越控除の適用期間は最長10年間と長期に設定されています。
個人事業主の青色申告でも損失の繰越控除は可能ですが、繰り越しができる期間は「最長3年間」に限定されています。
法人化しておくことで、事業初期の設備投資や広告宣伝などで大きな赤字が出た場合でも、将来事業が軌道に乗って得られた利益と相殺できる期間が長くなり、長期的な税務リスクを軽減できます。
3. 副業で会社設立するデメリットと注意点

副業の規模拡大に伴い会社設立を検討する際は、税制上の優遇措置や社会的信用の向上といった恩恵がある一方で、個人事業主時代には存在しなかった固有のコストや事務負担、特有のリスクが生じます。
これらを事前に把握せずに法人化を進めると、かえって手元に残る資金が減少し、本業に支障をきたす恐れがあります。
ここでは、会社設立に伴う代表的なデメリットと注意点について詳しく解説します。
3.1 会社の設立費用や登記手続きの手間がかかる
会社を設立するには、法務局への登記申請をはじめとする各種法的手続きが必要となり、初期費用として数十万円単位のまとまった資金が発生する点が最初のハードルとなります。
設立する法人形態(株式会社または合同会社)によって法定費用は異なりますが、定款の作成や認証、登録免許税の納付などは避けて通れません。
また、実印の作成や印鑑証明書の取得、資本金の払い込み手続きなど、多くの書類収集と手続きの手間が発生します。
専門的な知識がないまま独力で進めると書類不備による修正対応で時間が取られるため、司法書士や行政書士などの専門家へ依頼する場合は、別途数万円から十数万円程度の報酬支払いが必要になります。
| 法人形態 | 定款認証手数料 | 登録免許税 | 実費合計目安(電子定款の場合) |
|---|---|---|---|
| 株式会社 | 約3万円〜5万円 | 15万円(最低額) | 約20万円〜25万円 |
| 合同会社 | 不要(0円) | 6万円(最低額) | 約6万円〜10万円 |
3.2 赤字でも毎年発生する法人住民税の均等割
個人事業主の場合、年間の収支が赤字であれば所得税や住民税の所得割は課税されません。
しかし、法人の場合は事業活動による利益が一切出ていない赤字決算であっても、地方自治体に対して「法人住民税の均等割」として毎年最低約7万円の固定税額を納付し続ける義務が生じます。
均等割の金額は、法人の資本金額や事業所がある自治体、従業員数によって変動しますが、小規模なマイクロ法人であっても年間約7万円(都道府県民税約2万円+市町村民税約5万円)の維持コストが毎年確実に発生します。
副業の売上が一時的に落ち込んだ場合でも免除されないため、安定した事業基盤がない段階での法人化はキャッシュフローを圧迫する要因となります。
3.3 決算や確定申告など会計・税務の事務負担が増える
個人事業主の確定申告(青色申告)に比べ、法人の決算申告は高度な複式簿記の知識と複雑な税務調整が要求されます。
法人税、法人事業税、法人住民税、消費税など多岐にわたる税目を処理し、勘定科目内訳明細書や法人事業概況説明書といった多数の付属書類を作成しなければなりません。
これらの決算書・申告書作成を本業を持ちながら自力で完結させることは極めて困難であり、多くの場合は顧問税理士への業務委託が必要となり、決算料を含め年間20万円〜40万円程度の税理士報酬が発生することになります。
日々の領収書管理や会計ソフトへの入力作業といった経理業務の負担も増大し、本業や副業のコア業務に割く時間を削られる点は大きなデメリットです。
3.4 会社設立で本業の勤務先に副業がばれるリスクと対策
会社員が副業で会社を設立する場合、勤務先の就業規則や税金・社会保険の仕組みを正しく理解していないと、会社設立の事実が勤務先に露呈するリスクがあります。
主な発覚経路と注意すべきポイントは以下の通りです。
| 主な発覚要因 | 発生する理由・仕組み | 有効な対策と注意点 |
|---|---|---|
| 役員報酬の受給による社会保険手続き | 設立した会社から役員報酬を受け取ると、健康保険・厚生年金の二重加入が発生し、年金事務所から本業の会社へ保険料按分の通知が届く。 | 副業法人の役員報酬を「0円(無報酬)」に設定することで、副業側での社会保険加入義務を発生させない。 |
| 住民税の特別徴収税額の変動 | 副業役員報酬から発生した住民税が本業の給与から天引き(特別徴収)される際、税額の不自然な増加により経理担当者に気付かれる。 | 役員報酬を得ない運用を行うか、給与以外の所得として適切に処理を行う。 |
| 商業登記情報の一般公開 | 法人の代表取締役の氏名および住所は法務局の登記簿(登記事項証明書)に記載され、誰でも閲覧可能な公開情報となる。 | 役員名を本名で登記せざるを得ないため、家族を代表者にするなどの組織設計を検討する。 |
特に注意すべきは社会保険の取り扱いです。設立した法人から自身へ毎月役員報酬を支給すると、本業の給与と合算して社会保険料を再計算する手続きが強制的に行われるため、勤務先に通知が届き確実に副業が判明します。
副業禁止規定のある企業に勤務している場合や周囲に知られたくない場合は、利益を会社内に留保して無報酬を維持するか、配偶者などの家族を代表役員に据えるプライベートカンパニーの形態をとるなどの事前設計が不可欠です。
4. 副業から会社設立する際の手続きと流れ

副業が軌道に乗り法人化を決意した後は、法的な手順に沿って確実に設立手続きを進める必要があります。
会社設立の流れは大まかに「会社形態の決定」「定款の作成と認証」「登記申請および税務署などへの届出」という3つのステップに分かれます。
事前の準備を計画的に行うことで、本業の合間でもスムーズに法人を立ち上げることが可能です。
4.1 株式会社と合同会社の違いとおすすめの選び方
副業で会社を設立する際、多くの人が迷うのが「株式会社」にするか「合同会社(LLC)」にするかという法人形態の選択です。
両者には設立費用や社会的信用、経営の意思決定プロセスなどに明確な違いがあります。
| 比較項目 | 株式会社 | 合同会社(LLC) |
|---|---|---|
| 設立時の法定費用 | 約18万〜24万円(定款認証代+登録免許税) | 約6万円(登録免許税のみ) |
| 定款認証の要否 | 公証役場での認証が必要 | 認証不要 |
| 社会的信用・知名度 | 非常に高く、一般消費者や取引先に広く浸透 | 認知度は向上中だが、業種によっては説明が必要な場合あり |
| 役員の任期 | 最長10年(定期的な重任登記が必要) | 無期限(重任登記の費用がかからない) |
| 利益配分の自由度 | 出資比率に応じた配当が原則 | 出資比率に関わらず定款で柔軟に決定可能 |
副業での法人化において、BtoBの取引が多く将来的に外部からの資金調達や事業拡大を視野に入れている場合は株式会社を選ぶのが適しています。
一方で、初期費用を抑えてスモールビジネスを展開したい場合や、個人の資産管理・プライベートカンパニーとして運用する場合は合同会社が合理的です。
4.2 資本金や事業目的など定款の作成と認証手続き
法人形態を決めたら、会社の憲法とも呼ばれる「定款(ていかん)」を作成します。
定款には、会社の基本的なルールや重要事項を記載します。
定款作成にあたって事前に決めるべき主な項目は以下のとおりです。
- 商号(会社名):類似商号や使用可能文字の確認を行う
- 事業目的:現在行う事業だけでなく、将来手掛ける可能性がある事業も幅広く記載する
- 本店所在地:自宅、賃貸オフィス、バーチャルオフィスなどの住所
- 資本金の額:1円から設定可能だが、運転資金や信用力を考慮して100万円〜300万円程度に設定することが一般的
- 役員構成と任期:発起人、代表取締役、取締役などの役員と任期の決定
- 事業年度(決算期):本業の繁忙期を避け、資金繰りや節税に適した月を設定する
定款が完成したら、公証役場で公証人による定款認証を受けます(合同会社の場合は不要)。
従来の紙の定款では4万円の収入印紙が必要でしたが、PDFファイルを用いた電子定款作成を選択すれば印紙税4万円を節約することが可能です。
4.3 法務局での設立登記と税務署への各種届出
定款認証が完了したら、資本金の払い込みを行い、法務局へ会社設立の登記申請を行います。
登記申請を行った日が「会社設立日」となります。
登記申請に必要な主な手順は以下の通りです。
- 資本金の払い込み:発起人の個人口座に資本金額を振り込み、通帳のコピー等で払込証明書を作成する
- 登記書類の準備:登記申請書、発起人決定書、就任承諾書、印鑑届出書、印鑑証明書などを揃える
- 登録免許税の納付:株式会社は15万円(または資本金の0.7%の高い方)、合同会社は6万円を収入印紙等で納付する
- 法務局へ申請:本店所在地を管轄する法務局へ書類を提出、またはオンラインで申請する
法務局での登記が完了し、登記事項証明書(登記簿謄本)や法人印鑑証明書が取得できるようになったら、税務関連の各種届出を速やかに行います。
| 提出先 | 主な届出書類 | 提出期限の目安 |
|---|---|---|
| 税務署 | 法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 設立の日から2か月以内(青色申告は3か月以内または最初の事業年度終了日のいずれか早い前日) |
| 都道府県税事務所・市町村役場 | 法人設立届出書(地方税に関する届出) | 自治体により異なる(設立後15日〜1か月以内が一般的) |
| 年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険新規適用届、被保険者資格取得届(役員報酬を支給する場合) | 事実発生から5日以内 |
特に「青色申告の承認申請書」は期限内に提出しないと初年度から青色申告の税務上の優遇措置が受けられなくなるため、会社設立後は速やかに税務署へ提出手続きを行うことが重要です。
5. 副業の会社設立でよくある質問

会社員が副業として会社設立を行う際には、法律上のルールや家族の関わり方、社会保険の取り扱いなど、個人事業主とは異なる特有の疑問が生じます。
ここでは、副業からの法人化で特にお問い合わせの多い3つの質問について詳しく解説します。
5.1 サラリーマンでも自分を代表取締役にして会社設立できる?
結論から申し上げますと、会社法などの法律上、一般企業のサラリーマンが自分自身を代表取締役として会社を設立することに何ら問題はありません。
日本国憲法で職業選択の自由が保障されているため、会社員であること自体が会社設立の法的欠格事由になることはありません。
ただし、国家公務員や地方公務員の場合は、国家公務員法や地方公務員法によって営利企業の役員兼業が原則として禁止されているため注意が必要です。
民間企業の会社員が自身を代表取締役にする場合は、法律ではなく本業の勤務先が定めている就業規則の確認が最重要となります。
就業規則に副業禁止規定や役員就任の制限が明記されている場合、会社設立自体は法務局で問題なく受理されるものの、本業の企業との間で雇用契約違反や服務規律違反として懲戒処分の対象となるリスクがあります。
また、法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)には代表取締役の氏名と住所が記載され、誰でも法務局やインターネット登記情報提供サービスで閲覧可能です。
そのため、自身を代表取締役にする場合は、本業の会社に完全に秘匿したまま経営を続けることは難しいという点を理解しておく必要があります。
5.2 家族を役員にするプライベートカンパニーの作り方は?
本業の就業規則で役員就任が制限されている場合や、所得分散による節税効果を最大化させたい場合には、配偶者や親などの家族を代表取締役や取締役に据えたプライベートカンパニーを設立する方法が有効です。
このスキームでは、自身は会社の設立費用を出資する「株主(合同会社の場合は出資者・社員)」となり、経営業務の執行を家族に委任する形をとります。
株主としての配当金受取や出資者としての立場は、労働の提供ではないため一般的な就業規則の「副業・兼業」に該当しにくく、登記簿謄本の役員欄にも自身の名前が記載されません。
家族を役員にするプライベートカンパニーを設立する手順とポイントは以下の通りです。
| 検討項目 | 具体的な進め方と注意点 |
|---|---|
| 役員の選任と役割分担 | 配偶者や親を代表取締役として選任します。自身は代表権を持たない株主または非常勤役員にとどまります。 |
| 業務実態の確保 | 役員報酬を支給する場合、経理や事務、仕入れ、顧客対応など役員としての実質的な業務実態が不可欠です。実態がない報酬支払いは税務調査で損金不算入とされるリスクがあります。 |
| 役員報酬額の設定 | 扶養範囲(配偶者控除・社会保険の扶養)を維持するか、扶養を外れて所得分散メリットを優先するかをシミュレーションして支給額を決定します。 |
家族を役員にする際は、名義借りだけの形骸化した法人運営にならないよう、定款の作成から日々の業務記録の保存まで適切に管理することが税務上のトラブルを防ぐ鍵となります。
5.3 副業の社会保険はどうなる?二重加入の手続きは必要?
副業で会社を設立した際の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の取り扱いは、新設法人から役員報酬を受け取るかどうかによって手続きが大きく異なります。
法人は原則として社会保険の強制適用事業所となりますが、役員報酬がゼロ(無報酬)の場合は社会保険の加入義務が発生しないため、本業の勤務先の社会保険のみを継続することになります。
一方で、設立した法人から自身に対して役員報酬を支給する場合は、本業と副業法人の双方で社会保険の加入要件を満たすことになり、「二以上事業所勤務届」を日本年金機構に提出して社会保険の二重加入手続きを行わなければなりません。
| 副業法人からの役員報酬 | 社会保険の加入義務 | 必要な手続きと本業への影響 |
|---|---|---|
| 役員報酬が0円(無報酬) | 加入義務なし | 手続き不要。社会保険料は本業の給与のみから天引きされ、本業先へ通知が届くこともありません。 |
| 役員報酬あり(有給) | 二重加入の義務あり | 年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」の提出が必要です。 |
二以上事業所勤務届を提出すると、本業の給与と副業法人の役員報酬を合算した標準報酬月額に基づいて全体の社会保険料が再計算されます。
その再計算された保険料が両社の報酬比率に応じて按分され、本業の会社と副業法人の双方に年金事務所から「保険料額の決定通知書」が届きます。
その結果、本業の勤務先に副業法人の存在や役員報酬の金額が確実に把握されることになります。
そのため、本業に会社設立を知られたくない場合や余計な社会保険手続き・保険料負担を避けたい場合は、副業法人における自身の役員報酬を当面の間「ゼロ」に設定し、利益を会社内部に留保して再投資に充てる運用が一般的な選択肢となります。
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6. まとめ:副業の利益が800万円を超えたら会社設立を検討しよう
副業の所得(利益)が年間800万円を超えたタイミングは、所得税よりも法人税の実効税率が低くなりやすいため、会社設立を判断する最適な目安となります。
法人化によって大幅な節税や経費枠の拡大、社会的信用の獲得といったメリットを得られる一方、設立費用や赤字でも発生する法人住民税などの維持コストには注意が必要です。
本業の就業規則や将来の事業規模を見極めつつ、ご自身の状況に合わせて会社設立を検討しましょう。


