合同会社の社会保険は加入義務あり!手続き・必要書類・費用を完全解説

合同会社を設立したものの「社会保険の手続きが分からない」「一人社長でも加入は必要?」と悩んでいませんか。

結論として、合同会社は役員1名の法人であっても社会保険への加入が法律で義務付けられています。

本記事では、加入義務の根拠から、健康保険や厚生年金保険といった社会保険の種類、役員やパート・アルバイトを含めた加入対象者の条件を詳しく解説。

さらに、年金事務所などで行う手続きの具体的な流れ、必要書類の一覧、社会保険料の計算方法と費用シミュレーションまで網羅的にご紹介します。

未加入時の罰則も理解し、安心して会社を運営するための知識を身につけましょう。

合同会社の社会保険加入は法律で定められた義務

合同会社を設立した場合、社会保険への加入は法律によって定められた義務です。

個人事業主とは異なり、事業規模や従業員の人数にかかわらず、原則としてすべての法人が加入対象となります。

「まだ会社が小さいから」「利益が出ていないから」といった理由で加入を先延ばしにすることはできません。

社会保険は、万が一の病気やケガ、失業、老後の生活などを支えるための重要なセーフティネットです。

会社を経営する代表者自身はもちろん、従業員を安心して雇用するためにも、設立後速やかに手続きを行う必要があります。

この章では、なぜ合同会社に社会保険の加入義務があるのか、その法的根拠と具体的な対象範囲について詳しく解説します。

一人社長の合同会社でも社会保険の加入は必須

従業員を雇用せず、代表社員一人のみで運営する「一人社長」の合同会社であっても、社会保険への加入は義務です。

「自分一人しかいないのだから、国民健康保険と国民年金のままで良いのでは?」と考える方も少なくありませんが、これは誤解です。

法律上、法人は社長個人とは別人格として扱われます。
そのため、社長が法人から労働の対価として役員報酬を受け取っている場合、その社長は「法人に使用される者」と見なされ、健康保険・厚生年金保険の被保険者となります

つまり、役員報酬を1円でも設定している限り、社会保険の加入手続きを行わなければなりません。

ただし、役員報酬を完全に0円に設定している場合は、保険料の算定基礎となる報酬がないため、被保険者になることができず、結果として加入対象外となります。
しかし、事業を行う上で役員報酬を全く支払わないケースは稀であり、報酬の支払いを開始した時点で速やかに加入手続きが必要になることを覚えておきましょう。

法人が社会保険の強制適用事業所となる根拠

合同会社が社会保険に加入しなければならない根拠は、健康保険法や厚生年金保険法に定められている「強制適用事業所」に該当するためです。

強制適用事業所とは、事業主や従業員の意思に関わらず、法律によって社会保険への加入が強制される事業所のことを指します。

具体的には、以下のいずれかに該当する事業所が強制適用事業所となります。

事業所の種類加入要件備考
法人の事業所常時1人以上の従業員(役員を含む)を使用する事業所株式会社、合同会社、NPO法人など、すべての法人が対象。従業員の人数に関わらず強制加入となります。
個人事業所農林水産業、サービス業(一部)などを除く特定の事業を行い、かつ常時5人以上の従業員を使用する事業所従業員が5人未満の場合は任意加入となります。法人との大きな違いです。

上記の表が示す通り、合同会社は「法人の事業所」に分類されます。

そのため、会社を設立し、代表社員(社長)が役員報酬を受け取るようになった時点で、従業員が一人もいなくても強制適用事業所となり、健康保険・厚生年金保険への加入義務が発生するのです。

これは、個人事業主が法人化(法人成り)する際に特に注意すべき重要なポイントです。

また、従業員を一人でも雇用した場合は、上記の健康保険・厚生年金保険に加えて、労働保険(労災保険・雇用保険)の適用事業所にも該当し、そちらの加入手続きも別途必要になります。

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合同会社が加入する社会保険の5つの種類

合同会社を設立した場合、法律に基づき社会保険への加入が義務付けられています。

一般的に「社会保険」という言葉は、広義と狭義の2つの意味で使われます。

広義の社会保険は、これから解説する5つの保険制度全体を指します。

一方で、これらは手続きを行う場所によって、年金事務所が管轄する「社会保険(狭義)」と、労働基準監督署やハローワークが管轄する「労働保険」の2つに大別されます。

ここでは、合同会社が加入する広義の社会保険である「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5つの種類について、それぞれの役割と内容を詳しく解説します。

健康保険

健康保険は、業務外の病気やケガ、出産、死亡といった事態に備えるための公的な医療保険制度です。

加入者本人(被保険者)とその家族(被扶養者)が対象となり、医療機関で保険証を提示することで、医療費の一部負担で診療を受けられます。

合同会社が加入する健康保険は、主に全国健康保険協会が運営する「協会けんぽ」です。

健康保険に加入することで、次のような給付を受けられます。

給付の種類内容
療養の給付病気やケガで医療機関にかかった際の医療費負担が軽減されます。自己負担割合は年齢や所得に応じて原則1割〜3割です。
高額療養費制度1か月の医療費の自己負担額が上限額を超えた場合に、その超えた分が払い戻される制度です。
傷病手当金業務外の病気やケガで仕事を休み、給与が支払われない場合に、生活保障として支給されます。
出産育児一時金被保険者またはその被扶養者が出産した際に、一定額が支給されます。
出産手当金被保険者が出産のために仕事を休み、給与が支払われない場合に支給されます。

このように、健康保険は万が一の病気やケガの際の経済的負担を大きく軽減してくれる、生活に不可欠な制度です。

厚生年金保険

厚生年金保険は、法人に勤務する役員や従業員が加入する公的年金制度です。

日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する国民年金(基礎年金)に上乗せされる「2階建て」の構造になっています。

これにより、将来受け取る年金額が国民年金のみの場合よりも手厚くなります。

厚生年金保険の給付には、主に以下の3種類があります。

  • 老齢厚生年金:原則として65歳から、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして支給される年金。
  • 障害厚生年金:加入中に初診日がある病気やケガが原因で障害が残った場合に支給される年金。
  • 遺族厚生年金:加入者が死亡した場合に、その遺族の生活を保障するために支給される年金。

厚生年金への加入は、老後の生活だけでなく、不測の事態における本人や家族の生活を守るための重要なセーフティネットとなります。

介護保険

介護保険は、加齢によって介護が必要な状態(要介護状態・要支援状態)になった際に、介護サービスを受けるための費用を社会全体で支える制度です。

健康保険に加入している人のうち、40歳に達した方は自動的に介護保険の被保険者となり、保険料の納付義務が発生します。

保険料は健康保険料と一体で徴収され、給与から天引きされます。

40歳から64歳までの方は「第2号被保険者」に区分され、納めた保険料は、将来自身や同世代、または65歳以上の方(第1号被保険者)が介護サービスを利用する際の財源となります。

高齢化が進む日本において、非常に重要な役割を担う保険制度です。

雇用保険

雇用保険は、労働者の生活の安定と雇用の促進を目的とした保険制度で、「労働保険」の一つです。

一般的に「失業保険」や「失業手当」として知られています。

従業員(パート・アルバイトを含む)を一人でも雇用する事業所は、加入が義務付けられます。

雇用保険の主な給付内容は以下の通りです。

  • 基本手当(失業手当):労働者が失業し、次の就職先を探す間の生活を支えるために支給されます。
  • 育児休業給付金:育児のために休業する労働者に対して、休業中の所得を補償するために支給されます。
  • 介護休業給付金:家族の介護のために休業する労働者に対して支給されます。
  • 教育訓練給付金:労働者のスキルアップやキャリア形成を支援するために、指定の教育訓練講座を受講・修了した場合に費用の一部が支給されます。

雇用保険は、失業時だけでなく、育児や介護といったライフイベントで働き続けることを支援する役割も持っています。

なお、代表社員などの役員は原則として加入対象外です。

労災保険

労災保険(正式名称:労働者災害補償保険)は、雇用保険と並ぶ「労働保険」の一つです。

業務上の事由(業務災害)または通勤中の事由(通勤災害)による労働者の負傷、疾病、障害、死亡などに対して、必要な保険給付を行う制度です。

労災保険の最大の特徴は、保険料が全額事業主負担であることです。従業員の給与から天引きされることはありません。
また、パートやアルバイトといった雇用形態に関わらず、一人でも労働者を雇用した場合は、すべての労働者が補償の対象となります。

万が一業務中に事故が発生した場合、治療費は全額労災保険から給付され、休業中の生活保障(休業補償給付)も受けられます。

事業主にとっては、従業員が安心して働ける環境を提供し、経営上のリスクを軽減するための重要な保険です。
また、代表社員などの役員は原則として対象外ですが、「特別加入制度」を利用することで、業務実態に応じて労災保険の補償対象となることが可能です。

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【ケース別】合同会社の社会保険加入対象者

合同会社を設立した場合、どのような立場の人が社会保険の加入対象になるのでしょうか。

役員、正社員、パート・アルバイトといったケース別に、具体的な加入対象者の条件を詳しく解説します。

ご自身の状況と照らし合わせながらご確認ください。

役員(代表社員・業務執行社員)

合同会社では、株式会社の役員にあたる代表社員や業務執行社員も、原則として社会保険の加入対象となります。

たとえ社長が一人しかいない「一人合同会社」であっても、法人から労働の対償として報酬を受けている限り、加入義務が発生します。

これは、法人の代表者や役員も法人に使用される立場と見なされ、その報酬が給与(役員報酬)として扱われるためです。

個人事業主の場合は事業主自身が社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入することはありませんが、法人化した場合は立場が変わり、被保険者となります。

加入対象外となる「非常勤役員」のケース

ただし、役員であっても「非常勤役員」に該当する場合は、社会保険の加入対象外となることがあります。
非常勤役員と判断されるための明確な基準はありませんが、一般的に以下の要素を総合的に勘案して判断されます。

  • 勤務形態:定期的な出社義務がなく、会社の経営会議など、必要な場合にのみ出社しているか。
  • 業務内容:会社の経営判断に日常的に関与しているか、または特定の業務のみを担当しているか。
  • 報酬額:役員としての職務に対する報酬が、社会通念上妥当な範囲であり、他の常勤役員や従業員と比較して著しく低くないか。

単に「非常勤」という名称であるだけでは認められません。
勤務実態や報酬額が、常勤の役員や従業員と比べて明らかに少ないことが客観的に証明できる必要があります。
判断に迷う場合は、事前に管轄の年金事務所に相談することをおすすめします。

正社員

合同会社に雇用される正社員は、国籍や年齢、個人の意思に関わらず、原則として全員が社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険)の加入対象となります。

これは「常時使用される労働者」に該当するためです。

試用期間中の従業員であっても、雇用契約が成立した日から被保険者となります。
そのため、会社は入社日に遡って資格取得の手続きを行わなければなりません。

「試用期間が終わってから加入させる」といった対応は認められていないため、注意が必要です。

パート・アルバイトの加入条件

パートタイマーやアルバイトといった短時間労働者の社会保険加入については、働き方によって条件が異なります。

大きく分けて2つの基準があり、どちらかに該当すれば加入義務が発生します。

1. 「4分の3基準」を満たす場合

まず基本となるのが「4分の3基準」です。パート・アルバイトであっても、以下の両方の条件を満たす場合は、正社員と同様に社会保険の被保険者となります。

  • 1週間の所定労働時間が、同じ事業所で働く通常の労働者(正社員)の4分の3以上であること
  • 1ヶ月の所定労働日数が、同じ事業所で働く通常の労働者(正社員)の4分の3以上であること

例えば、正社員の所定労働時間が週40時間、月20日の会社の場合、週30時間以上かつ月15日以上働くパート・アルバイトは、本人の希望に関わらず社会保険に加入しなければなりません。

2. 「4分の3基準」を満たさない場合の加入条件

上記の「4分の3基準」を満たさない短時間労働者であっても、以下の条件をすべて満たす場合は、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入対象となります。
これは「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」と呼ばれる制度です。

項目条件
労働時間週の所定労働時間が20時間以上であること
賃金月額賃金が88,000円以上であること(賞与や残業代、通勤手当などを除く)
雇用期間雇用期間が2ヶ月を超えて見込まれること
学生学生でないこと(※夜間学生や休学中の場合は加入対象)
企業規模厚生年金保険の被保険者数が常時101人以上の企業に勤務していること
(※2024年10月からは「51人以上」の企業に拡大されます)

この企業規模の要件は、法改正によって段階的に対象が広がっています。
合同会社も、従業員(厚生年金の被保険者)の数がこの基準を超えた場合は「特定適用事業所」となり、上記の条件を満たすパート・アルバイトを社会保険に加入させる義務が生じます。
自社が特定適用事業所に該当するかどうかを常に把握し、対象となる従業員がいないかを確認することが非常に重要です。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

合同会社の社会保険加入手続きの具体的な流れ

合同会社を設立したら、社会保険の加入手続きを速やかに行う必要があります。

手続きは「健康保険・厚生年金保険」と「労働保険(労災保険・雇用保険)」の2つに大別され、それぞれ提出先や期限が異なります。

ここでは、各手続きの具体的な流れをステップごとに詳しく解説します。

手続きの全体像を把握しやすいように、まず概要を以下の表にまとめました。

保険の種類主な手続き提出先提出期限
健康保険・厚生年金保険新規適用届・被保険者資格取得届の提出管轄の年金事務所法人設立(登記)日から5日以内
労災保険労働保険関係成立届の提出管轄の労働基準監督署従業員を雇用した日の翌日から10日以内
雇用保険適用事業所設置届・被保険者資格取得届の提出管轄のハローワーク事業所設置や従業員雇用の翌日から10日〜翌月10日

これらの手続きは、窓口持参や郵送のほか、政府が運営する電子申請システム「e-Gov」を利用してオンラインで行うことも可能です。

それでは、各手続きの詳細を見ていきましょう。

年金事務所での健康保険・厚生年金保険の手続き

健康保険と厚生年金保険の手続きは、会社の設立後、最も早く対応すべき手続きです。

たとえ社長一人の合同会社であっても、役員報酬を受け取る以上は加入義務があります。

手続きの基本的な流れは以下の通りです。

  1. 必要書類の準備
    「健康保険・厚生年金保険新規適用届」「被保険者資格取得届」などを準備します。法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)や法人番号がわかる書類も必要です。
  2. 管轄の年金事務所へ提出
    会社の所在地を管轄する年金事務所に、準備した書類を提出します。提出期限は、法人を設立した日(登記日)から5日以内と非常に短いため、設立準備と並行して進めるのが理想的です。
  3. 適用通知書・保険証の受領
    書類に不備がなければ、後日、事業所の「適用通知書」や従業員の「健康保険被保険者証(保険証)」が会社宛に郵送されます。従業員に速やかに保険証を渡しましょう。

この手続きを怠ると、保険証が手に入らないだけでなく、後述する遡及加入や延滞金のリスクが生じるため、必ず期限内に完了させてください。

労働基準監督署での労災保険の手続き

労災保険は、業務中や通勤中のケガや病気に対して補償を行う保険です。

従業員を一人でも雇用した場合は、必ず加入しなければなりません。

この手続きは、後述する雇用保険の手続きの前提となります。

手続きの基本的な流れは以下の通りです。

  1. 必要書類の準備
    「労働保険関係成立届」を準備します。登記簿謄本(履歴事項全部証明書)のコピーなども添付します。
  2. 管轄の労働基準監督署へ提出
    会社の所在地を管轄する労働基準監督署に書類を提出します。提出期限は、従業員を初めて雇用した日の翌日から10日以内です。一人社長で従業員がいない場合は、この時点での手続きは不要ですが、初めて従業員を雇った際には忘れずに行いましょう。
  3. 労働保険番号の取得
    書類が受理されると、「労働保険関係成立届」の事業主控に受付印が押され、事業所固有の「労働保険番号」が付与されます。この番号は、次のハローワークでの手続きに必要となるため、大切に保管してください。

なお、役員は原則として労災保険の対象外ですが、業務の実態が労働者に近い場合など、希望すれば「特別加入制度」を利用して加入することも可能です。

ハローワークでの雇用保険の手続き

雇用保険は、従業員が失業した際の生活保障や再就職支援などを行うための保険です。

労災保険と同様に、従業員を一人でも雇用した場合に加入手続きが必要になります。

手続きの基本的な流れは以下の通りです。

  1. 労働保険番号の確認
    まず、労働基準監督署で取得した「労働保険番号」を準備します。この番号がないと雇用保険の手続きは進められません。
  2. 必要書類の準備
    「雇用保険適用事業所設置届」と、加入対象となる従業員全員分の「雇用保険被保険者資格取得届」を準備します。労働保険関係成立届の控えや登記簿謄本なども必要です。
  3. 管轄のハローワークへ提出
    会社の所在地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)に書類を提出します。提出期限は書類によって異なり、注意が必要です。
    • 雇用保険適用事業所設置届:事業所を設置した日(=最初の従業員を雇用した日)の翌日から10日以内
    • 雇用保険被保険者資格取得届:従業員を雇用した日(資格取得日)の属する月の翌月10日まで
    通常はこれらの書類を同時に提出します。
  4. 関連書類の受領
    手続きが完了すると、「雇用保険適用事業所設置届事業主控」や「雇用保険被保険者証」「雇用保険資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」などが交付されます。被保険者証と通知書は、必ず従業員本人に渡してください。

以上が、合同会社設立後に行う社会保険手続きの具体的な流れです。

各手続きには厳格な期限が定められているため、計画的に進めることが極めて重要です。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

社会保険の加入手続きに必要な書類一覧

合同会社の社会保険加入手続きは、大きく分けて「健康保険・厚生年金保険」と「労働保険(労災保険・雇用保険)」の2種類があり、それぞれ提出先や必要書類が異なります。

手続きをスムーズに進めるためには、事前に必要な書類を正確に把握し、漏れなく準備することが重要です。

ここでは、各手続きで必要となる書類を具体的に解説します。

まずは、手続きごとに必要な書類の概要を以下の表で確認しましょう。

年金事務所へ提出する書類

健康保険と厚生年金保険の手続きは、会社の所在地を管轄する年金事務所(または事務センター)で行います。

会社設立から5日以内という短い期間内に提出する必要があるため、設立登記と並行して準備を進めるのが理想的です。

書類名提出期限主な添付書類備考
健康保険・厚生年金保険新規適用届事実発生から5日以内法人(商業)登記事項証明書の原本、法人番号指定通知書のコピー 等会社として社会保険に加入するために最初に提出する書類です。
被保険者資格取得届事実発生から5日以内基礎年金番号やマイナンバーがわかるもの加入対象となる役員・従業員全員分が必要です。
健康保険被扶養者(異動)届事実発生から5日以内被扶養者のマイナンバー、続柄や収入を証明する書類 等社会保険に加入する役員・従業員に扶養家族がいる場合のみ提出します。

健康保険・厚生年金保険新規適用届

「健康保険・厚生年金保険新規適用届」は、合同会社が社会保険の適用事業所となるために、最初に提出する最も重要な書類です。
この届出により、事業所整理記号と事業所番号が発行され、以降の社会保険手続きの基礎となります。

提出の際には、以下の添付書類が必要です。

  • 法人(商業)登記事項証明書の原本(発行後90日以内のもの)
  • 法人番号指定通知書等のコピー
  • (法人の所在地が登記上の所在地と異なる場合)賃貸借契約書のコピーなど、事業所の所在地が確認できる書類

登記事項証明書は法務局で取得します。
手続きを円滑に進めるため、会社設立の登記が完了したら速やかに入手しましょう。

被保険者資格取得届

「被保険者資格取得届」は、代表社員などの役員や従業員一人ひとりを、健康保険・厚生年金保険の被保険者として登録するための書類です。
社会保険の加入義務がある役員・従業員の全員分を提出する必要があります。
一人社長の合同会社であっても、社長自身の分を提出しなければなりません。

この書類には、被保険者となる人の氏名、生年月日、基礎年金番号またはマイナンバー、そして報酬月額などを記入します。
特に報酬月額は、毎月の社会保険料を決定する「標準報酬月額」の算定基礎となるため、正確に記入してください。

健康保険被扶養者(異動)届

「健康保険被扶養者(異動)届」は、社会保険に加入する役員や従業員に、扶養する家族がいる場合のみ提出が必要な書類です。
配偶者や子供などを健康保険の被扶養者として認定してもらうために使用します。
被扶養者として認定されると、扶養家族は自身で保険料を負担することなく健康保険の給付を受けられます。

この届出は、通常「被保険者資格取得届」と同時に提出します。
被扶養者のマイナンバーの記載が必要となるほか、続柄や収入状況に応じて住民票や所得証明書などの添付が求められる場合があります。

労働基準監督署・ハローワークへ提出する書類

従業員を一人でも雇用した場合(パート・アルバイト含む)は、労働保険(労災保険・雇用保険)への加入手続きが必要です。

この手続きは、①労働基準監督署 → ②ハローワークという順番で進めることが非常に重要です。

先に労働基準監督署で「労働保険関係成立届」を提出し、その控えを受け取ってからハローワークでの手続きに進みます。

書類名提出先提出期限主な添付書類
労働保険関係成立届労働基準監督署保険関係成立の翌日から10日以内法人(商業)登記事項証明書のコピー 等
雇用保険適用事業所設置届ハローワーク事業所設置の翌日から10日以内労働保険関係成立届の事業主控、法人登記事項証明書のコピー 等
雇用保険被保険者資格取得届ハローワーク資格取得日の翌月10日まで労働者名簿、賃金台帳、出勤簿(タイムカード) 等

労働保険関係成立届

従業員を雇用したら、まず会社の所在地を管轄する労働基準監督署へ「労働保険関係成立届」を提出します。
これは、会社として労働保険(労災保険と雇用保険)の関係が成立したことを届け出るための書類です。
提出期限は、従業員を雇用した日(保険関係が成立した日)の翌日から10日以内です。

この届出を提出すると、労働保険番号が発行されます。
この番号は後の雇用保険の手続きで必須となるため、提出後に受け取る事業主控は大切に保管してください。
添付書類として、法人(商業)登記事項証明書のコピーなどが必要になります。

雇用保険適用事業所設置届

労働基準監督署での手続きが完了したら、次に会社の所在地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)へ「雇用保険適用事業所設置届」を提出します。
これは、自社が雇用保険の適用事業所であることを届け出るための書類です。
提出期限は、事業所を設置した日(=初めて従業員を雇用した日)の翌日から10日以内です。

この手続きには、以下の書類が必須となります。

  • 労働保険関係成立届の事業主控
  • 法人(商業)登記事項証明書のコピー
  • 事業所の実在を確認できる書類(賃貸借契約書のコピーなど)

特に「労働保険関係成立届の事業主控」がないと手続きができないため、必ず労働基準監督署での手続きを先に済ませましょう。

雇用保険被保険者資格取得届

「雇用保険被保険者資格取得届」は、雇用保険の加入要件を満たす従業員一人ひとりを被保険者として登録するための書類です。
上記の「雇用保険適用事業所設置届」と同時に、加入対象となる従業員全員分をハローワークへ提出します。
提出期限は、従業員を雇用した日(資格取得日)の属する月の翌月10日までです。

この届出には、従業員のマイナンバーや雇用形態、賃金などを記入します。
提出の際には、記載内容の確認資料として、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)、雇用契約書などの提示を求められることがありますので、あらかじめ準備しておくと手続きがスムーズです。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

合同会社の社会保険料の費用と計算方法

合同会社を設立・運営する上で、社会保険料は人件費の中でも大きな割合を占める重要なコストです。

社会保険料は、役員報酬や従業員の給与額に基づいて計算され、会社と従業員(役員含む)がそれぞれ負担します。

ここでは、その費用の仕組みと具体的な計算方法について、シミュレーションを交えながら詳しく解説します。

標準報酬月額とは

健康保険料と厚生年金保険料を計算する際の基礎となるのが「標準報酬月額」です。
これは、被保険者(役員や従業員)が受け取る月々の報酬を、一定の範囲(等級)で区切った金額のことを指します。

具体的には、毎年4月、5月、6月の3ヶ月間に支払われた報酬(給与)の平均額を算出し、それを「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」に当てはめて、その年の9月から翌年8月までの標準報酬月額が決定されます(これを「定時決定」といいます)。

標準報酬月額の計算対象となる報酬には、基本給のほか、役職手当、通勤手当、残業手当、住宅手当、家族手当など、労働の対償として会社から現金または現物で支給されるほぼ全てのものが含まれます。

ただし、出張旅費や慶弔見舞金、賞与(年3回以下の支給)などは含まれません。

また、賞与(ボーナス)については、税引前の賞与額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」を基に、月々の保険料とは別に計算されます。

会社と従業員の負担割合

社会保険料は、保険の種類によって会社と従業員の負担割合が異なります。
特に健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料は、原則として会社と従業員が半分ずつ負担する「労使折半」となります。

一方で、労災保険料は全額が会社負担です。

各保険料の負担割合は以下の通りです。

保険の種類会社負担従業員負担備考
健康保険労使折半労使折半保険料率は都道府県ごとに異なる。
厚生年金保険労使折半労使折半保険料率は全国一律(18.3%)。
介護保険労使折半労使折半40歳から64歳までの被保険者が対象。健康保険料に上乗せして徴収。
雇用保険従業員負担より多い会社負担より少ない事業の種類によって保険料率と負担割合が異なる。
労災保険全額会社負担負担なし事業の種類によって保険料率が細かく定められている。

これらの保険料率は毎年見直される可能性があるため、手続きの際は必ず日本年金機構や厚生労働省のウェブサイトで最新の情報を確認するようにしてください。

役員報酬と社会保険料のシミュレーション

それでは、実際に役員報酬に対してどれくらいの社会保険料が発生するのか、具体的なモデルケースで計算してみましょう。

シミュレーションの前提条件

  • 会社所在地:東京都
  • 役員の年齢:45歳(介護保険第2号被保険者に該当)
  • 役員報酬(月額):400,000円
  • 賞与:なし
  • 加入する社会保険:健康保険、厚生年金保険、介護保険

※役員は原則として雇用保険の被保険者とならないため、ここでは計算に含めません。
※保険料率は協会けんぽ(東京都)の令和6年度の料率を参考にしています。

計算手順と結果

  1. 標準報酬月額の決定
    報酬月額40万円の場合、全国健康保険協会(協会けんぽ)の「令和6年度保険料額表(東京都)」によると、健康保険の標準報酬月額は「41万円(28等級)」、厚生年金保険の標準報酬月額は「41万円(24等級)」となります。
  2. 各保険料の計算
    決定した標準報酬月額を基に、各保険料を計算します。
    • 健康保険料(介護保険料含む):410,000円 × 11.52%(※) = 47,232円
    • 厚生年金保険料:410,000円 × 18.3% = 75,030円
    ※健康保険料率10.00% + 介護保険料率1.52%(令和6年度4月分からの料率)

上記で算出した保険料を、会社と役員本人で折半します。

その結果は以下の表の通りです。

保険料の種類保険料月額(合計)会社負担額本人負担額
健康保険料(介護保険料含む)47,232円23,616円23,616円
厚生年金保険料75,030円37,515円37,515円
合計122,262円61,131円61,131円

このシミュレーションから、月額40万円の役員報酬を設定した場合、会社は毎月約6.1万円の社会保険料を負担する必要があることがわかります。
これは年間で約73万円にもなる大きなコストです。

合同会社の資金繰りを計画する上で、役員報酬の金額設定が社会保険料の負担額に直結することを十分に理解しておくことが極めて重要です。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

社会保険に未加入だった場合のリスクと罰則

合同会社における社会保険の加入は、法律で定められた厳格な義務です。

もし、この義務を怠り社会保険に未加入のままでいると、単なる手続き漏れでは済まされず、会社経営の根幹を揺るがしかねない重大なリスクと罰則が科せられます。

ここでは、未加入が発覚した場合に具体的にどのような事態に陥るのかを詳しく解説します。

最大2年間の遡及加入と追徴金

社会保険の未加入が日本年金機構の調査などで発覚した場合、最も大きな金銭的リスクとなるのが過去に遡っての強制加入(遡及適用)です。

社会保険料の徴収時効は2年であるため、最大で過去2年分に遡って加入手続きを行うよう命じられます。

この場合、会社は過去2年分の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)を一括で納付しなければなりません。

本来、社会保険料は会社と従業員が半分ずつ負担(労使折半)しますが、遡及加入の際はすでに退職した従業員の分や、在籍中の従業員から過去の給与分を天引きすることが困難なケースがほとんどです。
その結果、実質的に会社が従業員負担分も含めた全額を立て替えて、一括で支払う事態に陥ることが多く、これは企業のキャッシュフローに壊滅的なダメージを与える可能性があります。

延滞金の発生

遡及加入によって確定した過去2年分の社会保険料は、指定された期限までに一括で納付する必要があります。

万が一、この期限までに納付できなかった場合、納付すべき保険料本体に加えて、法定の利率に基づき計算された高額な延滞金が課されます。

延滞金は納付が完了する日まで日割りで加算され続けるため、支払いが遅れれば遅れるほど、その総額は雪だるま式に膨れ上がっていきます。

遡及保険料という大きな負担に加え、さらに延滞金が上乗せされることで、会社の資金繰りは著しく悪化し、経営危機に直結する危険性も十分に考えられます。

ハローワークや公的機関からの指導

社会保険への未加入状態は、公的機関からも厳しく監視されています。

未加入の疑いがある法人には、まず日本年金機構(年金事務所)から加入を促すための文書が送付されます。
これを無視していると、電話による督促や、担当者が事業所へ直接訪問しての加入指導が行われます。

度重なる指導にも応じない悪質なケースと判断された場合、強制的な立入検査が実施されることがあります。

立入検査では、賃金台帳や労働者名簿、出勤簿といった書類の提出を求められ、加入義務の有無や対象者を徹底的に調査されます。

最終的に、行政が職権で強制的に加入手続きを行い、国税徴収法に準じて会社の預金や売掛金、不動産といった財産の差し押さえといった強制執行に至る可能性もゼロではありません。

さらに、これらの指導や罰則は健康保険・厚生年金保険に限った話ではありません。

労働保険(労災保険・雇用保険)に関しても、労働基準監督署やハローワークから同様の指導や調査が行われます。

特に悪質なケース、例えば意図的に加入を逃れようとしたり、立入検査を妨害したりした場合には、刑事罰の対象となる可能性もあります。

各法律には以下の通り罰則規定が設けられています。

根拠法罰則内容
健康保険法6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
厚生年金保険法6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
雇用保険法6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

このように、社会保険の未加入は金銭的なペナルティだけでなく、行政指導、強制執行、そして刑事罰という極めて深刻な事態を招くリスクをはらんでいます。

合同会社を設立した際は、速やかに、そして正確に社会保険の加入手続きを完了させることが、安定した会社経営の第一歩と言えるでしょう。

まとめ

本記事では、合同会社の社会保険について解説しました。

結論として、合同会社は社長一人であっても、法律で定められた強制適用事業所であるため社会保険への加入が義務付けられています。

健康保険・厚生年金保険は年金事務所で、労災保険・雇用保険は労働基準監督署やハローワークで手続きが必要です。

未加入が発覚すると、最大2年間の遡及加入や追徴金といった重いペナルティが課される可能性があります。

会社設立後は、本記事を参考に速やかに加入手続きを完了させましょう。

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