「合同会社?株式会社?有限会社?違いがよく分からない…」とお悩みではありませんか?
この記事では、合同会社・株式会社・有限会社の3つの会社形態の違いを、資本金、設立費用、設立手続き、経営のしやすさ、信用度、税金など様々な側面から徹底的に比較解説します。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解することで、あなたのビジネスに最適な会社形態を選択できるようになります。
起業を考えている方、会社設立について詳しく知りたい方にとって必見の内容です。
最終的には、どの会社形態があなたにとってベストなのかが分かるよう、それぞれのおすすめな人を具体的に提示しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
合同会社・株式会社・有限会社の概要
会社を設立するには、まずどの形態の会社にするかを選択する必要があります。
大きく分けて「合同会社」「株式会社」「有限会社」の3つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
この章では、それぞれの会社形態の概要を分かりやすく解説します。
合同会社とは
合同会社は、2006年に施行された会社法で新しく設立が可能になった会社形態です。
出資者全員が有限責任社員となるのが特徴で、比較的小規模な事業やスタートアップ企業に向いています。
意思決定の柔軟性が高く、設立費用も株式会社や有限会社に比べて安価です。
株式会社とは
株式会社は、最も一般的な会社形態です。
株式を発行して資金を調達し、株主から出資を受けることができます。
株主は出資額の範囲内で有限責任を負います。
社会的信用度が高く、資金調達もしやすいというメリットがあります。
一方で、設立費用やランニングコストは比較的高く、設立手続きも複雑です。
有限会社とは
有限会社は、かつて中小企業の代表的な会社形態でしたが、2006年の会社法改正により、新規設立はできなくなりました。
既存の有限会社は存続可能ですが、株式会社への移行も可能です。
有限会社も株主は出資額の範囲内で有限責任を負います。
現在では新規設立できないため、これから会社を設立する場合は、合同会社か株式会社を選択することになります。
項目 | 合同会社 | 株式会社 | 有限会社 |
---|---|---|---|
設立年 | 2006年 | – | – |
社員の責任 | 有限責任 | 有限責任 | 有限責任 |
資金調達 | 比較的に難しい | 容易 | 比較的容易 |
社会的信用 | 低い | 高い | 中程度 |
定款認証 | 不要 | 必要 | 必要 |
決算公告義務 | 原則不要 | 原則必要 | 原則必要 |
上記のように、それぞれの特徴を理解した上で、自身の事業内容や将来の展望に合った会社形態を選択することが重要です。
事業規模、資金調達の必要性、社会的信用度などを考慮し、最適な会社形態を選びましょう。
合同会社・株式会社・有限会社の違いを比較一覧表で解説

合同会社、株式会社、有限会社は、それぞれ異なる特徴を持つ法人形態です。
以下に、比較一覧表を用いて分かりやすく解説します。
項目 | 合同会社 | 株式会社 | 有限会社 |
---|---|---|---|
資本金 | 1円以上 | 1円以上 | 300万円以上(旧:1,000万円以上) |
設立費用 | 約6万円 (登録免許税、定款認証不要) | 約24万円 (登録免許税、定款認証が必要) | 約24万円 (登録免許税、定款認証が必要) |
設立手続き | 比較的簡単 定款認証が不要なため、株式会社や有限会社に比べて手続きが簡素です。電子定款を利用すれば印紙代も不要です。 | 複雑 定款認証、公証役場への手続きなど、複雑な手続きが必要です。 | 複雑 定款認証、公証役場への手続きなど、複雑な手続きが必要です。株式会社とほぼ同様です。 |
経営のしやすさ | 自由度が高い 意思決定機関を柔軟に設計でき、経営の自由度が高いです。定款に定めれば、社員総会を開催する必要もありません。 | 自由度が低い 株主総会や取締役会の設置が義務付けられており、意思決定に時間がかかる場合があります。 | 自由度が低い 株主総会に相当する社員総会の開催や取締役の設置が義務付けられており、株式会社と同様に意思決定に時間がかかる場合があります。 |
信用度 | 低い 歴史が浅く、知名度が低いため、株式会社に比べて信用度が低いとされる場合があります。特に金融機関からの融資を受ける際に影響が出ることがあります。 | 高い 社会的に認知度が高く、信用度が高いです。そのため、金融機関からの融資を受けやすい傾向にあります。 | 低い 株式会社と比較して信用度が低い傾向にあります。特に新規取引先との取引開始時に影響が出ることがあります。2006年会社法施行以降、新規設立ができなくなっていることも影響しています。 |
税金 | 法人税、住民税、事業税など、株式会社や有限会社と同じ税金が課せられます。 | 法人税、住民税、事業税など、合同会社や有限会社と同じ税金が課せられます。 | 法人税、住民税、事業税など、合同会社や株式会社と同じ税金が課せられます。 |
組織変更のしやすさ | 株式会社への変更は比較的容易ですが、他の形態への変更は難しい場合があります。 | 合同会社、合名会社、合資会社への変更が可能です。 | 株式会社への変更は比較的容易ですが、他の形態への変更は難しい場合があります。 |
決算公告の義務 | 義務なし | 義務あり(官報または電子公告) | 義務あり(官報または電子公告) |
上記の情報は一般的なものであり、個々のケースによって異なる場合があります。
詳細な情報については、専門家にご相談ください。
合同会社のメリット・デメリット

合同会社には、株式会社や有限会社と比較した際に、様々なメリット・デメリットが存在します。
事業の形態や規模、将来的な展望などを考慮し、どの会社形態が適切かを見極める必要があります。
ここでは、合同会社のメリット・デメリットを詳しく解説します。
メリット
設立費用が安い
合同会社設立の最大のメリットは、株式会社や有限会社と比べて設立費用が安いことです。
株式会社の場合、登録免許税が最低でも15万円必要ですが、合同会社の場合は6万円で済みます。
また、定款認証も不要なため、公証人への手数料もかかりません。
これらの費用を抑えられるため、初期投資を最小限に抑えたい起業家にとって大きなメリットとなります。
設立手続きが簡単
合同会社は、株式会社や有限会社と比べて設立手続きが簡単です。
定款認証が不要なため、手続きにかかる時間も短縮できます。
必要な書類も少なく、手続きも簡素化されているため、専門家への依頼費用も抑えることができます。
初めて会社を設立する人でも、比較的容易に手続きを進めることができるでしょう。
経営の自由度が高い
合同会社は、株式会社と比べて経営の自由度が高いこともメリットです。
株式会社では、株主総会や取締役会の開催が義務付けられていますが、合同会社にはそのような制約がありません。
意思決定のスピードが速く、柔軟な経営を行うことができます。
また、利益の分配方法も自由に決めることができるため、出資比率に関係なく、貢献度に応じて分配することも可能です。
デメリット
信用度が低い
合同会社は、株式会社と比較して信用度が低いとされる場合があります。
株式会社は歴史が長く、社会的に認知度が高いため、取引先や金融機関からの信頼を得やすい傾向にあります。
一方、合同会社はまだ歴史が浅く、認知度も低いため、取引において不利になる可能性も考えられます。
特に、大企業との取引や銀行融資を受ける際には、信用度の低さがネックとなる可能性があります。
資金調達が難しい
合同会社は、株式会社と比較して資金調達が難しい場合があります。株式会社は株式を発行することで、広く資金を調達することができますが、合同会社には株式発行の制度がありません。
そのため、銀行融資やエンジェル投資家、ベンチャーキャピタルからの資金調達に頼らざるを得ない場合が多く、資金調達の選択肢が限られることがデメリットとなります。
また、信用度の低さも資金調達の難しさに拍車をかけていると言えるでしょう。
項目 | 合同会社 | 株式会社 |
---|---|---|
設立費用 | 安い | 高い |
設立手続き | 簡単 | 複雑 |
経営の自由度 | 高い | 低い |
信用度 | 低い | 高い |
資金調達 | 難しい | 容易 |
上記のように、合同会社にはメリット・デメリットの両方が存在します。
事業内容や規模、将来的な展望などを考慮し、自身に合った会社形態を選択することが重要です。
例えば、小規模でスタートし、経営の自由度を重視するのであれば合同会社が適しているかもしれません。
一方、将来的に事業を拡大したい、資金調達を積極的に行いたいと考えているのであれば、株式会社を選択する方が良いでしょう。
それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、最適な会社形態を選択することが、事業の成功につながる第一歩と言えるでしょう。
株式会社のメリット・デメリット

株式会社は、合同会社や有限会社と比較して多くのメリットを持つ一方、デメリットも存在します。
事業規模や将来の展望に合わせて、適切な会社形態を選択することが重要です。
メリット
信用度が高い
株式会社は、合同会社や有限会社と比較して一般的に信用度が高いとされています。
これは、株式会社が法律で厳格なルールが定められており、社会的にも広く認知されているためです。
特に、銀行からの融資や取引先との契約においては、株式会社であることが有利に働くケースが多く見られます。
また、株式を発行することで資金調達もしやすいため、事業拡大を目指す企業にとって最適な選択肢と言えるでしょう。
資金調達がしやすい
株式会社は、株式を発行することで多くの投資家から資金を調達できるというメリットがあります。
これは、合同会社や有限会社にはない大きな利点です。株式公開(IPO)によってさらに大規模な資金調達も可能になります。
また、銀行からの融資も受けやすいため、事業拡大に必要な資金を確保しやすいと言えるでしょう。
ベンチャーキャピタルからの出資も受けやすいため、成長性の高いビジネスを展開する企業にとって、株式会社は魅力的な選択肢となります。
社会的なステータスが高い
株式会社は、合同会社や有限会社と比較して社会的なステータスが高いと認識されています。
これは、株式会社が一定の規模と実績を持つ企業というイメージが定着しているためです。
そのため、優秀な人材の確保やビジネスパートナーとの提携においても有利に働く可能性があります。
また、株式会社の代表取締役という肩書きは、ビジネスシーンにおいて一定の信頼感を与えるとともに、個人のキャリアアップにも繋がるでしょう。
デメリット
設立費用が高い
株式会社の設立には、合同会社や有限会社と比較して多くの費用がかかります。
登録免許税や定款認証費用、司法書士への報酬など、様々な費用が発生します。
これらの費用は、事業規模や資本金の額によって変動しますが、一定の金額を準備する必要があるため、初期費用を抑えたい起業家にとっては負担となる可能性があります。
設立手続きが複雑
株式会社の設立手続きは、合同会社や有限会社と比較して複雑です。
定款の作成や公証役場での認証、法務局への登記申請など、様々な手続きが必要となります。
これらの手続きには専門的な知識が必要となる場合もあるため、司法書士や行政書士などの専門家に依頼するケースが多く、その分費用も増加します。
また、手続きに時間を要するため、迅速に事業を開始したい起業家にとってはデメリットとなるでしょう。
経営の自由度が低い
株式会社は、株主総会や取締役会の承認が必要な事項が多く、合同会社や有限会社と比較して経営の自由度が低いと言えます。
これは、株式会社が株主の利益を重視する必要があるためです。
例えば、重要な経営判断を行う際には、株主総会や取締役会の決議が必要となる場合があり、迅速な意思決定が難しい場合があります。
また、情報開示の義務も厳格であるため、経営の透明性を確保する必要があります。
項目 | 株式会社 | 合同会社 | 有限会社(特例有限会社含む) |
---|---|---|---|
資本金 | 制限なし | 制限なし | 最低300万円(特例有限会社は制限なし) |
設立費用 | 高額(約25万円~) | 安価(約6万円~) | 高額(約25万円~) |
設立手続き | 複雑 | 簡単 | 複雑 |
経営のしやすさ | 低い | 高い | 低い |
信用度 | 高い | 低い | 低い |
資金調達 | 容易 | 難しい | 難しい |
社会的地位 | 高い | 低い | 低い |
上記は一般的な傾向であり、個々のケースによって異なる場合があります。
最終的な判断は、専門家への相談も踏まえて慎重に行いましょう。
有限会社のメリット・デメリット

現在、有限会社は新規設立ができません。
2006年の会社法改正により、株式会社よりも設立費用や手続きの面でメリットが少なくなった有限会社は、新規設立の選択肢から外されました。
既存の有限会社は存続可能ですが、株式会社への移行も可能です。
以下では、既存の有限会社が持つメリット・デメリット、そして株式会社への移行について解説します。
メリット
有限責任制度
有限会社も株式会社と同様に有限責任制度を採用しています。
出資額以上の責任を負う必要がないため、万が一事業が失敗した場合でも、私財を失うリスクを限定できます。
これは、個人事業と比較した際の大きなメリットです。
デメリット
設立費用が高い(新規設立は不可)
有限会社は株式会社と比較して設立費用が安いと言われていましたが、2006年の会社法改正以降、その差は縮小しました。
現在では、有限会社の新規設立はできません。
設立手続きが複雑(新規設立は不可)
有限会社は株式会社と同様に、定款の作成や認証、登記などの手続きが必要です。
これらの手続きは専門知識が必要な場合もあり、時間も費用もかかります。現在では、有限会社の新規設立はできません。
株式会社と比較してメリットが少ない
会社法改正により、有限会社特有のメリットは減少しました。
特に、資本金に関する規制緩和や機関設計の柔軟化により、株式会社の使い勝手が向上したことで、有限会社のメリットは薄れてしまいました。
そのため、現在では株式会社を選択する方が一般的です。
株式会社への移行を検討する必要がある
既存の有限会社は事業を継続できますが、将来的には株式会社への移行を検討する必要があるかもしれません。
株式会社への移行には費用と手間がかかりますが、社会的な信用力や資金調達の容易さといったメリットを得られる可能性があります。
項目 | 有限会社 | 株式会社 |
---|---|---|
新規設立 | 不可 | 可能 |
有限責任 | あり | あり |
信用度 | 低い | 高い |
資金調達 | 難しい | 容易 |
社会的ステータス | 低い | 高い |
将来性 | 低い | 高い |
上記のように、有限会社には現在、新規設立ができないという大きなデメリットが存在します。
既存の有限会社も、株式会社と比較するとメリットが少ないため、株式会社への移行を検討する価値があります。
移行にかかる費用や手続きは専門家へ相談することをおすすめします。
合同会社がおすすめな人

合同会社は、株式会社や有限会社に比べて設立費用や手続きが簡素であり、経営の自由度も高いことから、特定の層にとって非常に魅力的な選択肢となります。
以下に、合同会社設立がおすすめな方の特徴をまとめました。
小規模事業者・スタートアップ
限られた資本で迅速に事業を始めたい小規模事業者やスタートアップにとって、合同会社の低コスト性は大きなメリットです。
複雑な手続きや費用負担を抑え、事業の本質に集中することができます。
少人数での事業運営
少人数で事業を始める場合、意思決定のスピードが重要になります。
合同会社は意思決定機関がシンプルであるため、迅速な経営判断が可能です。
少数精鋭で事業を展開したい場合に適しています。
自由度の高い経営を重視する人
合同会社は、株式会社に比べて定款の自由度が高く、内部のルールを柔軟に設定できます。
独自の経営スタイルを確立したい、柔軟な組織運営を望む人に最適です。
副業・兼業
副業や兼業で事業を始めたい場合にも、合同会社は適しています。
設立費用やランニングコストを抑えながら、本業とは別の事業に挑戦することができます。
フリーランス・個人事業主
フリーランスや個人事業主が法人化する場合、合同会社は有力な選択肢となります。
事業の継続性や信用力の向上につながるだけでなく、税制上のメリットも享受できます。
共同事業
複数人で共同事業を始める場合、出資比率や役割分担などを自由に決められる合同会社は、パートナーシップを重視する共同事業に適しています。
互いの信頼関係に基づいた柔軟な事業運営が可能です。
NPO法人設立前の準備段階
NPO法人設立を目指す団体が、準備段階で活動を行う際に、合同会社を選択するケースもあります。
NPO法人設立に必要な要件を満たすまでの間、法人格を取得し、事業を展開することができます。
事業規模の拡大を目指さない事業
事業規模を大きく拡大する予定がない場合、合同会社は適した選択肢となります。
小規模で安定した経営を維持したい場合、シンプルで費用負担の少ない合同会社は最適です。
資金調達の必要がない事業
自己資金で事業を運営し、外部からの資金調達を必要としない場合、合同会社は適しています。
資金調達に有利な株式会社に比べて設立や運営の手間が少なく、効率的な経営が可能です。
特徴 | 合同会社がおすすめな理由 |
---|---|
小規模事業・スタートアップ | 低コストで迅速な事業開始が可能 |
少人数での事業運営 | シンプルな意思決定機関による迅速な経営判断 |
自由度の高い経営 | 柔軟な定款設定と組織運営 |
副業・兼業 | 低コストで本業以外の事業に挑戦可能 |
フリーランス・個人事業主 | 事業継続性・信用力向上、税制メリット |
共同事業 | 柔軟な出資比率・役割分担設定 |
NPO法人設立前の準備段階 | 法人格取得による事業展開 |
事業規模の拡大を目指さない | 小規模で安定した経営の維持 |
資金調達の必要がない | 自己資金での効率的な経営 |
株式会社がおすすめな人

株式会社は、合同会社や有限会社と比較して設立費用や手続きの負担は大きくなりますが、信用力が高く資金調達もしやすいため、事業を大きく展開したいと考えている人に向いています。
また、社会的なステータスも高く、対外的な信用力を求める人にもおすすめです。
信用力を重視する人
株式会社は、合同会社や有限会社と比べて、社会的な信用度が高いとされています。
銀行からの融資を受けやすかったり、取引先からの信頼を得やすかったりするなど、事業を円滑に進める上で有利に働くことが多いです。
特に、金融機関との取引や大企業との取引を検討している場合は、株式会社の信用力が大きなメリットとなるでしょう。
資金調達を積極的に行いたい人
株式会社は、株式を発行することで資金調達を行うことができます。
これは、合同会社や有限会社にはない大きなメリットです。
ベンチャーキャピタルからの出資や、株式公開(IPO)による資金調達も視野に入れている場合は、株式会社を選択することが望ましいでしょう。
将来的に事業を拡大したい、多額の資金を必要とする事業を展開したいと考えている人にとって、株式発行による資金調達は非常に有効な手段となります。
社会的なステータスを求める人
株式会社は、合同会社や有限会社と比較して社会的なステータスが高いとされています。
「株式会社の社長」という肩書きは、ビジネスシーンにおいて一定の信頼感や尊敬を集めることがあります。
社会的な認知度を高めたい、ビジネス上の信用力を高めたいと考えている人にとって、株式会社は魅力的な選択肢となるでしょう。
事業規模の拡大を計画している人
将来的に事業を拡大し、従業員を増やしたり、複数の支店を展開したりすることを計画している場合は、株式会社が適しています。
株式会社は組織体制がしっかりとしており、事業の成長に合わせて組織を柔軟に変化させることができます。
また、株式を発行することで、事業拡大に必要な資金を調達することも可能です。
様々な業種に対応できる
株式会社は、業種を問わず幅広い事業に適しています。
小売業、製造業、サービス業、IT関連企業など、どのような業種でも株式会社として設立することができます。
特に、特定の業種に限定されない、汎用性の高い会社形態と言えるでしょう。
会社の組織を整備したい人
株式会社は、取締役会や監査役会などの組織を設けることが義務付けられています。
しっかりとした組織体制を構築することで、内部統制を強化し、健全な経営を行うことができます。
また、責任と権限を明確にすることで、組織運営の効率化を図ることも可能です。
会社の組織を整備し、ガバナンスを強化したいと考えている人にとって、株式会社は最適な選択肢と言えるでしょう。
将来、株式公開(IPO)を目指したい人
株式公開(IPO)は、株式会社だけが選択できる資金調達方法です。
IPOによって多額の資金を調達し、事業を飛躍的に成長させることができます。
将来、IPOを目指したいと考えているのであれば、最初から株式会社として設立しておくことが重要です。
株式会社のメリット・デメリットを理解した上で選択することが重要
メリット | デメリット |
---|---|
信用度が高い | 設立費用が高い |
資金調達がしやすい | 設立手続きが複雑 |
社会的なステータスが高い | ランニングコストが高い |
事業拡大に適している | 経営の自由度が低い |
株式会社には、上記のようなメリット・デメリットがあります。
自身の事業計画や経営方針、将来のビジョンなどを考慮し、メリット・デメリットを理解した上で、最適な会社形態を選択することが重要です。
有限会社がおすすめな人

有限会社は、2006年の会社法改正により新規設立ができなくなりましたが、既存の有限会社は存続可能です。
現在有限会社を経営している、もしくは将来的に事業承継などで有限会社を経営する予定のある方に向けて、どのような人におすすめなのか解説します。
すでに有限会社を経営している人
すでに有限会社を経営している場合は、特に変更の必要がない限り、有限会社のまま事業を継続しても問題ありません。
株式会社への移行には費用と手間がかかるため、メリットとデメリットを比較検討し、慎重に判断する必要があります。
事業承継で有限会社を承継する予定の人
親族から有限会社を承継する予定のある人も、有限会社のまま事業を継続することが可能です。
ただし、将来的に事業拡大や資金調達を考えている場合は、株式会社への移行も視野に入れておくべきでしょう。
承継前に、税理士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
有限会社のメリットを重視する人
有限会社には、有限責任制度という大きなメリットがあります。
出資額以上の責任を負う必要がないため、個人事業に比べてリスクを限定することができます。
このメリットを重視するのであれば、既存の有限会社を維持するという選択肢も有効です。
小規模事業を営む予定の人
現在有限会社を経営している、または承継予定の方は、比較的小規模な事業を営んでいるケースが多いと考えられます。
小規模事業であれば、有限会社のままでも十分な経営が可能でしょう。
ただし、事業拡大を目指す場合は、株式会社への組織変更も検討する必要があります。
コストを抑えたい人
株式会社への組織変更には、登録免許税や司法書士への報酬など、一定のコストがかかります。
そのため、コストを抑えたい場合は、有限会社のまま事業を継続するという選択肢も考えられます。
ただし、将来的に資金調達などを検討している場合は、株式会社の方が有利な場合もあります。
複雑な手続きを避けたい人
株式会社への組織変更には、定款変更や登記手続きなど、複雑な手続きが必要となります。
これらの手続きに時間をかけたくない場合は、有限会社のまま事業を継続するという選択肢も有効です。
項目 | 有限会社 | 株式会社 |
---|---|---|
新規設立 | 不可 | 可能 |
資本金 | 300万円以上 | 1円以上 |
設立費用 | 約20万円~ | 約20万円~ |
信用度 | 低い | 高い |
資金調達 | 難しい | 比較的容易 |
上記のように、有限会社にはメリット・デメリットが存在します。
有限会社を継続するか、株式会社へ移行するかは、事業の規模や将来の展望などを考慮し、慎重に判断する必要があります。
不明な点があれば、専門家へ相談することをおすすめします。
合同会社・株式会社・有限会社の設立方法

会社設立は、それぞれの会社形態によって手続きや必要書類が異なります。
ここでは、合同会社、株式会社、有限会社の設立方法をそれぞれ詳しく解説します。
合同会社の設立方法
合同会社の設立は、株式会社や有限会社に比べて比較的簡単です。
主な手順は以下の通りです。
- 定款の作成:会社の基本ルールとなる定款を作成します。 定款には、会社名、事業目的、社員の出資額、事業年度などを記載します。電子定款にすることで印紙税4万円が不要になります。
- 認証不要:合同会社の場合、定款の認証は不要です。
- 資本金の払い込み:社員が出資額を払い込みます。法的な最低資本金はありません。
- 設立登記申請:必要書類を法務局に提出して設立登記を申請します。登録免許税は6万円です。
必要書類
- 定款
- 設立登記申請書
- 資本金の払い込みを証明する書類
- 代表社員の就任承諾書
株式会社の設立方法
株式会社の設立は、合同会社よりも複雑で、手続きも多くなります。
主な手順は以下の通りです。
- 定款の作成・認証:会社の基本ルールとなる定款を作成し、公証役場で認証を受けます。定款には、会社名、事業目的、発行可能株式総数、事業年度などを記載します。電子定款にすることで印紙税4万円が不要になります。
- 資本金の払い込み:株主が出資額を払い込みます。最低資本金は1円です。
- 設立登記申請:必要書類を法務局に提出して設立登記を申請します。登録免許税は資本金の額によって異なります。(15万円~)
必要書類
- 定款
- 設立登記申請書
- 資本金の払い込みを証明する書類
- 取締役の就任承諾書
- 監査役の就任承諾書(監査役設置会社の場合)
有限会社の設立方法
有限会社の新規設立は、2006年5月の会社法改正により廃止されました。
既存の有限会社は存続できますが、新たに設立することはできません。
会社法改正前に設立された有限会社は、株式会社へと移行することも可能です。
有限会社から株式会社への移行手続きは、定款変更の手続きが必要となり、株主総会の特別決議が必要です。
会社設立代行サービスの利用
合同会社、株式会社の設立手続きは、専門的な知識が必要となる場合もあります。
そのため、司法書士や行政書士などの専門家に依頼したり、会社設立代行サービスを利用するのも一つの方法です。
これらのサービスを利用することで、時間と手間を節約し、スムーズに会社設立を進めることができます。
項目 | 合同会社 | 株式会社 | 有限会社 |
---|---|---|---|
定款認証 | 不要 | 必要 | 必要 |
最低資本金 | なし | 1円 | 300万円(旧会社法) |
登録免許税 | 6万円 | 15万円〜 | 15万円〜(旧会社法) |
新規設立 | 可能 | 可能 | 不可能(2006年5月以降) |
それぞれの会社形態の特徴を理解し、自身に合った会社形態を選択することが重要です。
設立費用や手続きの難易度だけでなく、将来的な事業展開や資金調達なども考慮して、慎重に検討しましょう。
まとめ
合同会社、株式会社、有限会社の違いについて解説しました。
設立費用、手続きの簡便さ、信用度、資金調達、経営の自由度、税金など、様々な観点から比較することで、それぞれのメリット・デメリットが明確になったかと思います。
資金を抑えて手軽に起業したい場合は合同会社、信用力を重視し将来的な資金調達や事業拡大を目指すなら株式会社がおすすめです。
有限会社は現在、新規設立ができないため、既存の有限会社を経営している場合を除き、選択肢には入りません。
それぞれの会社形態の特徴を理解し、自身の事業計画やビジョンに合った会社形態を選択することが重要です。