会社の設立準備で悩みがちな「定款の事業目的」。
実は、この書き方一つで許認可の取得や銀行融資の結果が大きく変わる可能性があります。
本記事を読めば、会社の憲法となる事業目的の基本ルールから、将来の事業展開を見据えた戦略的な記載方法、IT・飲食・建設業など業種別の具体的な書き方まで全て理解できます。
結論として、事業目的は将来性を見据えつつ、許認可や融資で不利にならないよう6つの注意点を押さえることが重要です。
会社の信用を高め、スムーズな経営を実現するための最適な事業目的の作り方がわかります。
はじめに 定款の事業目的が会社経営の根幹をなす理由
これから会社を設立される方、あるいは事業の多角化を検討されている経営者の皆様。「定款の事業目的」をどのように記載すればよいか、お悩みではありませんか?
多くの方が、会社設立手続きの一項目として捉えがちですが、それは大きな間違いです。
事業目的は、単に登記に必要な項目というだけではありません。
それは会社の「憲法」とも呼ばれる定款の中でも、事業活動の範囲を定め、会社の方向性を示す羅針盤となる、まさに経営の根幹をなす部分なのです。
適切に設定された事業目的は、会社の信用力を高め、円滑な資金調達を可能にし、将来のビジネスチャンスを広げる力を持っています。
逆に、安易に決めてしまった事業目的が、後々の経営の足かせになるケースは決して少なくありません。
具体的に、事業目的の設定が経営にどのような影響を与えるのか、以下の表で比較してみましょう。
| 項目 | 不適切な設定の場合(リスク) | 適切な設定の場合(メリット) |
|---|---|---|
| 信用力・融資 | 事業内容が不明確、または実態と乖離していると見なされ、金融機関からの融資審査で不利になる。 | 事業の透明性や将来性が高く評価され、融資や出資を受けやすくなる。 |
| 許認可の取得 | 建設業や飲食業など、許認可が必要な事業で定められた文言が記載されておらず、申請が受理されない。 | 許認可の要件を正確に満たした記載により、スムーズに事業を開始できる。 |
| 将来の事業展開 | 新規事業を始めようとした際に、その事業が目的の範囲外となり、事業目的変更の手続きと費用が発生する。 | 将来の事業拡大を見据えた目的を盛り込むことで、機動的かつ柔軟な事業展開が可能になる。 |
| 取引先との関係 | 登記簿謄本を見た取引先に「何をしている会社か」が伝わらず、信頼を得にくかったり、取引機会を逃したりする。 | 会社の専門性や強みが明確に伝わり、新たなビジネスチャンスや信頼関係の構築につながる。 |
このように、定款の事業目的は、設立時だけでなく、その後の会社運営のあらゆる場面に影響を及ぼす重要な戦略的要素です。
「とりあえず」で決めてしまうと、将来的に時間的・金銭的なコストが発生し、ビジネスの成長スピードを鈍化させる原因にもなりかねません。
本記事では、こうした失敗を未然に防ぎ、あなたの会社の可能性を最大限に引き出すための「事業目的」の定め方について、専門家である司法書士の視点から、基礎知識、具体的な書き方、そして絶対に押さえておくべき注意点まで、網羅的に解説していきます。
定款の事業目的とは 会社の憲法における重要な役割

会社の設立にあたり作成する「定款(ていかん)」は、会社の組織や運営に関する基本的なルールを定めたもので、「会社の憲法」とも呼ばれる非常に重要な書類です。
その中でも「事業目的」は、その会社がどのような事業を行って利益を追求するのかを内外に示す、会社経営の根幹をなす項目です。
事業目的は、単に「何をするか」を記すだけではありません。
設立する会社が法人として法的に活動できる範囲を定めると同時に、取引先や金融機関、顧客に対して「この会社は何の専門家なのか」を明確に伝える役割を担います。
明確で適切な事業目的を定めることは、円滑な会社運営と将来の成長に向けた第一歩と言えるでしょう。
会社法で定められた事業目的のルール
会社の事業目的は、思いつきで自由に記載して良いわけではなく、会社法という法律によってルールが定められています。
具体的には、会社法第27条において、事業目的は株式会社の定款に必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」の一つとされています。
「絶対的記載事項」とは、その名の通り、記載がなければ定款そのものが無効になってしまう項目です。
つまり、事業目的が記載されていない定款は、公証役場での認証を受けることができず、法務局での会社設立登記も受理されません。
定款に記載される事項は、その重要度に応じて以下の3つに分類されます。
| 種類 | 概要 | 具体例 |
|---|---|---|
| 絶対的記載事項 | 記載がないと定款自体が無効になる項目 | 事業目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額、発起人の氏名・住所 |
| 相対的記載事項 | 記載がなくても定款は有効だが、記載しないと効力が生じない項目 | 役員の任期伸長、株式の譲渡制限、株主総会の招集通知期間の短縮 |
| 任意的記載事項 | 会社が任意で記載できる項目。法律に反しない範囲で自由に定められる。 | 事業年度、役員の員数、株主総会の議長 |
このように、事業目的は会社の存在を法的に定義するための必須要素であり、登記事項証明書(登記簿謄本)にも記載され、誰でも閲覧できる公的な情報となります。
事業目的が会社の信用や融資に与える影響
定款の事業目的は、法的な要件を満たすだけでなく、会社の社会的信用や資金調達にも直接的な影響を与えます。
まず、取引先との関係において、事業目的は会社の顔となります。
新規で取引を開始しようとする企業は、相手が信頼できる会社かどうかを判断するために、登記事項証明書を確認することがあります。
その際に、事業目的が曖昧であったり、あまりにも多くの事業が羅列されていたりすると、「何をしている会社なのか分からない」という印象を与え、信用を得にくくなる可能性があります。
さらに重要なのが、金融機関からの融資審査への影響です。
日本政策金融公庫や民間の銀行から融資を受ける際、金融機関は提出された事業計画書と、定款に記載された事業目的との整合性を厳しくチェックします。
例えば、飲食店の開業資金を借りようとしているのに、定款の事業目的に「飲食店の経営」という記載がなければ、計画の信憑性を疑われてしまいます。
逆に、事業内容と将来の展望が明確に示された事業目的は、事業計画の説得力を高め、融資審査においてプラスの評価を得るための重要な要素となります。
事業目的は、単なる手続き上の一項目ではなく、会社の未来を左右する戦略的なツールであることを認識しておくことが不可欠です。
失敗しない定款の事業目的の書き方

定款の事業目的は、一度決めたら終わりではありません。
会社の成長に合わせて柔軟に対応できる「未来への設計図」です。
ここでは、会社の可能性を最大限に引き出し、かつ法務局の登記審査や金融機関の融資審査でつまずかないための、具体的で実践的な書き方を解説します。
失敗しないためのポイントを押さえ、盤石な事業基盤を築きましょう。
事業目的の基本構成と記載のポイント
事業目的は、誰が読んでも事業内容を明確に理解できるように記載することが大原則です。
登記官や金融機関の担当者、取引先など、あらゆるステークホルダーが判断基準とするため、曖昧な表現は避けなければなりません。
基本的な構成は箇条書きで、以下の4つのポイントを必ず押さえるようにしてください。
| ポイント | 解説 | 具体例 |
|---|---|---|
| 明確性 | 一般的で分かりやすい言葉を使い、事業内容が具体的にイメージできる表現を心がけます。専門用語や業界用語の羅列は避けましょう。 | 良い例:「ウェブサイトの企画、制作及び運営」 悪い例:「DX推進支援」 |
| 具体性 | 抽象的な表現ではなく、「何を」「どうする」のかが分かるように記載します。「〜の販売」「〜の製造」「〜のコンサルティング」のように、具体的な行為を示します。 | 良い例:「飲食店の経営」 悪い例:「サービス業」 |
| 適法性 | 事業目的は、法律の範囲内で行えるものでなければなりません。弁護士法や税理士法などの士業法に抵触する内容や、公序良俗に反する事業は記載できません。 | 良い例:「経営コンサルティング業務」 悪い例:「法律事務の代行」(弁護士法違反の恐れ) |
| 営利性 | 株式会社は営利を目的とする法人です。そのため、「ボランティア活動」や「寄付活動」などを主たる事業目的とすることはできません。これらはCSR活動の一環として行うものであり、定款の事業目的に記載するものではありません。 | 良い例:「企業の社会的責任(CSR)に関するコンサルティング」 悪い例:「慈善事業」 |
将来の事業展開を見据えた事業目的の入れ方
会社設立時に、将来行う可能性のある事業をあらかじめ定款に盛り込んでおくことは、非常に重要な戦略です。
なぜなら、事業開始後に行いたい事業が定款に記載されていない場合、事業目的の変更登記が必要になるからです。
この変更登記には、株主総会の特別決議を経た上で、法務局へ登録免許税3万円を支払う必要があります。
例えば、現在はWeb制作事業のみを行っていても、1〜2年後にWebメディアの運営やECサイトでの商品販売を計画しているなら、設立当初からこれらの事業目的を記載しておくべきです。
これにより、将来の事業拡大時に余計な手間とコストをかけずに、スムーズに事業をスタートできます。
ただし、注意点もあります。
関連性のない事業目的をやみくもに羅列すると、「何の会社か分からない」と見なされ、金融機関からの融資審査でマイナスの評価を受けたり、取引先からの信用を得にくくなったりする可能性があります。
「現在すぐに行う事業」と「3年〜5年以内に行う可能性が高い事業」を中心に、バランスを考えて記載することが賢明です。
業種別 事業目的の記載例とサンプル
ここでは、主要な業種別に事業目的の具体的な記載例をご紹介します。
自社の事業内容に合わせてカスタマイズする際の参考にしてください。
許認可が必要な事業については、申請先の行政機関が指定する文言を確認し、その通りに記載することが不可欠です。
IT・Webサービス業の記載例
- インターネットウェブサイト、ウェブコンテンツ及びホームページの企画、デザイン、制作、販売、運営、保守及び管理
- コンピュータソフトウェア及びアプリケーションの企画、開発、制作、販売、賃貸、保守及び管理
- インターネットを利用した各種情報提供サービス及び情報収集サービス
- 企業の経営及びマーケティングに関するコンサルティング業務
- インターネット広告の企画、制作及び代理店業
飲食業の記載例
- 飲食店の経営、企画及び運営
- 弁当、惣菜、パン、菓子類の製造及び販売
- 食料品、飲料及び酒類の販売
- ケータリングサービス及びデリバリーサービス
- 料理教室の企画及び運営
建設業の記載例
- 土木一式工事、建築一式工事の請負、設計、施工及び監理
- 内装仕上工事、大工工事、電気工事、管工事の請負、設計及び施工
- 建物の増改築、リフォーム及びメンテナンス業務
- 不動産の売買、賃貸、仲介及び管理
- 建築資材の販売及び輸出入
コンサルティング業の記載例
- 企業の経営戦略、事業戦略に関するコンサルティング業務
- マーケティングリサーチ及び経営情報の調査、収集及び提供
- 人材の育成、職業適性、能力開発のための教育及び研修事業
- 講演会、セミナー、イベントの企画、開催及び運営
- 書籍、雑誌その他印刷物及び電子出版物の企画、執筆、編集及び出版
便利な一文「附帯関連する一切の事業」の活用方法
事業目的の最後に「前各号に附帯又は関連する一切の事業」という一文を加えるのが一般的です。
これは、定款に記載した主たる事業目的を遂行する上で、自然に発生する付随的な業務を包括的にカバーするためのものです。
例えば、「飲食店の経営」という目的に対して、店内で使用するオリジナル食器やTシャツを販売する行為は、この「附帯する事業」として解釈される可能性があります。
この一文があることで、事業活動の範囲に一定の柔軟性を持たせることができます。
しかし、この一文は万能の切り札ではないことを理解しておく必要があります。
あくまで記載された事業目的の範囲を補完するものであり、全く関連性のない新規事業をこの一文を根拠に始めることはできません。
例えば、IT企業が突然不動産売買を始める場合などは、事業目的の追加が必須です。
また、許認可が必要な事業は、この一文では絶対にカバーできないため、必ず個別に明記しなければなりません。
定款の事業目的で押さえるべき6つの注意点

定款の事業目的は、一度決めたら終わりではありません。会社の成長や事業環境の変化に合わせて見直すこともありますが、その手続きには手間と費用がかかります。
だからこそ、会社設立の段階で、将来を見据えつつ、いくつかの重要な注意点を押さえておくことが極めて重要です。
ここでは、後々のトラブルや無駄なコストを避けるために知っておくべき6つの注意点を、司法書士の視点から詳しく解説します。
注意点1 許認可が必要な事業の記載方法
特定の事業を始めるには、国や都道府県などの行政庁から「許認可」を得る必要があります。そして、その許認可を申請する前提として、定款の事業目的に、許認可の要件を満たす正確な文言が記載されていることが求められます。もし記載がなければ、許認可が下りず、事業をスタートできません。
例えば、建設業許可を取りたいのに、事業目的に「リフォーム業」としか記載がなければ、「建設業」の文言がないことを理由に許可が下りない可能性があります。
許認可が必要な事業を将来少しでも行う可能性がある場合は、設立時にその旨を事業目的に含めておくことが賢明です。
以下に、許認可が必要な代表的な事業と、定款への記載ポイントをまとめました。
| 許認可の種類 | 主な事業内容 | 定款記載のポイント |
|---|---|---|
| 建設業許可 | 建築工事、土木工事、リフォームなど | 「建設業」や「土木工事業」「建築工事業」といった具体的な業種名を記載する。 |
| 宅地建物取引業免許 | 不動産の売買、仲介、賃貸など | 「宅地建物取引業」のほか、「不動産の売買、交換、賃貸及びその代理並びに仲介」といった文言を記載する。 |
| 古物商許可 | 中古品の買取・販売(リサイクルショップ、中古車販売など) | 「古物営業法に基づく古物商」や「古物の売買」といった文言を記載する。 |
| 飲食店営業許可 | レストラン、カフェ、居酒屋など | 「飲食店の経営」といった文言を記載する。深夜にお酒を提供する場合は「深夜における酒類提供飲食店営業」なども検討する。 |
| 労働者派遣事業許可 | 人材派遣 | 「労働者派遣事業」という文言を明確に記載する。 |
どの文言が適切か不明な場合は、許認可を管轄する行政庁のウェブサイトを確認するか、直接問い合わせるのが最も確実な方法です。
司法書士や行政書士などの専門家に相談することも有効な手段です。
注意点2 事業目的の数は何個が適切か
定款に記載する事業目的の数に、法律上の上限や下限はありません。
しかし、会社の信用や将来の事業展開を考慮すると、その「数」は非常に重要な要素となります。
事業目的が多すぎる場合、例えば30個も40個も羅列されていると、「結局、何の会社なのか分からない」「事業に一貫性がない」といった印象を与えかねません。
これは、取引先や金融機関からの信用を損なう原因になる可能性があります。
一方で、事業目的が少なすぎると、将来新しい事業を始めたくなった際に、その都度、事業目的の変更登記が必要になります。
変更登記には手間と費用(登録免許税3万円+専門家報酬)がかかるため、頻繁な変更は避けたいところです。
そこで、一般的には10〜15個程度を目安にするのがおすすめです。
これくらいの数であれば、現在の事業内容を明確にしつつ、将来の事業展開にもある程度の柔軟性を持たせることができます。
現在すぐに行う事業、2〜3年以内に行う可能性のある事業、そして将来的に挑戦したい事業をバランス良く含めるのがポイントです。
注意点3 明確性の原則 具体的な表現を心がける
定款の事業目的は、「明確性の原則」を満たしている必要があります。
これは、誰が読んでもその事業内容を具体的かつ客観的に理解できるように記載しなければならない、というルールです。
曖昧な表現や、一般的すぎる言葉は、法務局での登記申請の際に登記官から修正を求められる可能性があります。
例えば、以下のような表現は注意が必要です。
- 悪い例:「サービス業」→ 何のサービスか全く不明。
- 良い例:「飲食店の経営」「ITシステムの開発及び保守」「経営コンサルティング業」
- 悪い例:「物販」→何を販売するのか不明。
- 良い例:「アパレル製品の企画、製造及び販売」「食料品の輸入及び販売」
登記官だけでなく、金融機関や取引先も事業目的をチェックします。
抽象的な表現は、「事業計画が具体的に練られていないのではないか」という疑念を抱かせる原因にもなります。
自社の事業内容を、第三者にも誤解なく伝えられるよう、具体的な言葉で表現することを常に意識しましょう。
注意点4 適法性と営利性を必ず満たす
会社の事業目的は、当然ながら「適法性」と「営利性」という2つの大原則を満たしている必要があります。
適法性
法律に違反する事業や、公序良俗に反する事業(例:詐欺、賭博、殺人請負など)を事業目的に掲げることはできません。
これは当然のことですが、弁護士法や税理士法など、特定の資格がなければ行えない「独占業務」を、資格がないにもかかわらず事業目的に記載することも適法性に反する可能性があるため注意が必要です。
営利性
株式会社は利益を上げて株主に配当することを目的とする「営利法人」です。
そのため、「ボランティア活動」や「寄付行為」そのものを主たる事業目的とすることはできません。
ただし、これらを事業目的の中に含めること自体が全面的に禁止されているわけではありません。
例えば、「当会社は、収益の一部を社会貢献活動に寄付する」といった形で、会社のCSR(企業の社会的責任)活動の一環として記載することは可能です。
あくまで会社の主たる活動が利益を追求するものであることが前提となります。
注意点5 融資審査で不利にならないためのポイント
会社設立時に日本政策金融公庫や制度融資などを利用して創業融資を受ける場合、金融機関は定款の事業目的を厳しくチェックします。
事業目的は、提出する事業計画書と並んで、経営者のビジョンや事業の実現可能性を判断するための重要な資料となるからです。
融資審査で不利にならないためには、以下の点に注意しましょう。
- 事業の一貫性:これから始めようとするメイン事業と、定款に記載された事業目的全体に一貫性があるか。全く関連性のない事業が多数羅列されていると、事業への集中力を疑われる可能性があります。
- 事業内容との整合性:創業計画書に記載した事業内容が、定款の事業目的に明確に含まれていることが絶対条件です。例えば、Webサイト制作で融資を申し込むのに、定款にその記載がなければ融資は実行されません。
- 投機的な事業:FX取引、暗号資産(仮想通貨)の売買、不動産投資などが事業目的の上位に多数記載されていると、堅実な事業運営を志向していないと見なされ、審査にマイナスの影響を与えることがあります。これらの事業を行う場合でも、記載の仕方や順序には配慮が必要です。
融資担当者は、定款の事業目的から「この会社は、計画通りに事業を遂行し、きちんと返済してくれるだろうか」という点を読み取ろうとします。
信頼を得られるような、堅実で一貫性のある事業目的を作成することが重要です。
注意点6 事業目的の変更手続きと費用
会社の事業内容を追加・変更・削除したい場合、定款の事業目的を変更する手続きが必要になります。
この手続きはいつでも可能ですが、手間とコストがかかることを理解しておく必要があります。
事業目的の変更手続きの主な流れは以下の通りです。
- 株主総会の開催:定款変更は会社の根幹に関わる重要事項であるため、株主総会での「特別決議」が必要となります。特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。
- 株主総会議事録の作成:決議内容を証明する議事録を作成します。
- 変更登記申請:決議の日から2週間以内に、法務局へ事業目的の変更登記を申請します。
この手続きには、以下の費用が発生します。
| 費用の種類 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 30,000円 | 法務局に納める税金です。変更する目的の数に関わらず一律です。 |
| 司法書士への報酬 | 30,000円~50,000円程度 | 手続きを専門家に依頼する場合に発生します。議事録作成から登記申請までを代行してもらえます。 |
このように、事業目的の変更には最低でも3万円のコストと、株主総会開催などの手間がかかります。
そのため、会社設立時に、将来の事業展開をある程度予測し、必要な事業目的をあらかじめ盛り込んでおくことが、結果的に時間と費用の節約につながるのです。
まとめ
本記事では、定款の事業目的の重要性から具体的な書き方、6つの注意点までを解説しました。
事業目的は、会社の信用力や融資審査、許認可の取得に直接影響するため、会社経営の根幹をなす重要な項目です。
将来の事業展開も見据え、「明確性」「適法性」「営利性」の原則を守り、適切な数の目的を記載することが成功の鍵となります。
不安な点があれば司法書士などの専門家に相談し、万全の体制で会社設立に臨みましょう。
