マイクロ法人とは?設立方法からメリット・デメリット、税金まで徹底解説

マイクロ法人とは?設立方法からメリット・デメリット、税金まで徹底解説

「マイクロ法人」って最近よく聞くけど、実際どんな会社のこと?
個人事業主との違いは何?
設立するとどんなメリット・デメリットがあるの?


そんな疑問をお持ちの方に向けて、この記事ではマイクロ法人の定義から設立方法、メリット・デメリット、税金、社会保険まで徹底解説します。

この記事を読めば、マイクロ法人がどんな制度なのか、自分に合っているのかどうかを判断するための材料が手に入ります。

具体的には、節税効果や社会的な信用力向上といったメリットだけでなく、ランニングコストや会計処理の複雑化といったデメリットも理解できます。
さらに、設立に必要な手続きや税金、社会保険に関する情報も網羅。

マイクロ法人設立を検討している方、個人事業主から法人化を考えている方は必見です。

マイクロ法人とは

「マイクロ法人」という言葉を耳にする機会が増えてきましたが、その定義や特徴を正しく理解しているでしょうか?

マイクロ法人は、少ない人数で運営される小規模な株式会社または合同会社を指す、一般的な呼称です。

法律上の正式な用語ではなく、明確な定義はありません。

一般的には、従業員数10人未満、資本金1億円未満といった中小企業の基準よりもさらに小規模な法人をイメージする場合が多いです。

特に、役員1名のみ、あるいは家族経営のような小規模な形態を「マイクロ法人」と呼ぶケースが多く見られます。

近年、起業のハードルが下がり、個人事業主から法人成りする際に、このマイクロ法人という形態を選択する人が増えています。

この章では、マイクロ法人の定義や、中小企業・個人事業主との違いについて詳しく解説していきます。

マイクロ法人の定義

法律上、「マイクロ法人」という定義は存在しません。

慣用的に、従業員数が少なく、資本金規模も小さい法人を指す言葉として使われています。

具体的な人数や金額に明確な基準はありませんが、一般的には、従業員数数名程度、資本金数百万円以下といった小規模な法人をイメージすることが多いでしょう。

重要なのは、株式会社や合同会社といった法人格を有している点です。
この点が、後述する個人事業主との大きな違いとなります。
また、中小企業基本法で定義されている「中小企業」よりも、さらに規模が小さいというニュアンスが含まれています。

マイクロ法人と中小企業の違い

マイクロ法人と中小企業はどちらも小規模な事業者を指しますが、明確な違いがあります。
それは、法的な定義の有無です。

中小企業は中小企業基本法によって定義されており、業種によって異なるものの、製造業・建設業・運輸業・その他の業種では、資本金は3億円以下、従業員数は300人以下とされています。

卸売業では資本金1億円以下、従業員数100人以下、小売業では資本金5,000万円以下、従業員数50人以下と定められています。

一方、マイクロ法人に法的な定義はありません。

一般的には中小企業よりもさらに小規模な法人を指し、従業員数数名程度、資本金数百万円以下をイメージする場合が多いでしょう。

マイクロ法人と個人事業主の違い

マイクロ法人と個人事業主の最も大きな違いは、法人格の有無です。

マイクロ法人は株式会社や合同会社などの法人格を有していますが、個人事業主は法人格を持ちません。
この違いにより、税金、社会保険、責任の範囲、資金調達など、様々な面で異なる点が生じます。

以下に、主な違いをまとめました。

項目マイクロ法人個人事業主
法人格ありなし
税金法人税、法人住民税、法人事業税など所得税、住民税、事業税など
社会保険原則加入義務あり国民健康保険、国民年金
責任有限責任無限責任
資金調達銀行融資を受けやすい銀行融資を受けにくい

これらの違いを理解した上で、自身の事業に最適な形態を選択することが重要です。

特に、事業規模の拡大や、社会的信用力の向上を目指すのであれば、マイクロ法人化を検討する価値があります。
逆に、小規模な事業をシンプルに運営したい場合は、個人事業主のままでも問題ありません。

マイクロ法人を設立するメリット

個人事業主からマイクロ法人へ転換、あるいは最初からマイクロ法人として事業を始めることで得られるメリットは多岐に渡ります。

事業の成長と安定化を図る上で、マイクロ法人化は大きなメリットをもたらす可能性があります。

以下、代表的なメリットを詳しく解説します。

節税効果

マイクロ法人化による大きなメリットの一つが節税効果です。
これは、法人税率の優遇措置や、経費の範囲拡大といった要因により実現されます。

法人税率の優遇

マイクロ法人は、中小企業と同様に法人税率の優遇措置を受けることができます。

特に、中小企業の中でも資本金1億円以下の法人には軽減税率が適用され、所得800万円以下の部分に対しては実効税率が15%程度になるケースもあります。
これは個人事業主の所得税率と比較して低い水準であり、大きな節税効果が期待できます。

例えば、所得が300万円の場合、個人事業主であれば所得税率は約20%ですが、マイクロ法人であれば約15%となり、5%の節税効果が期待できます。

経費の範囲拡大

個人事業主の場合、事業に直接関係する費用のみを経費として計上できますが、マイクロ法人では、給与や福利厚生費、交際費など、より幅広い範囲の費用を経費として計上できます。

適切な経費計上により、課税対象となる所得を圧縮し、節税効果を高めることが可能です。 
例えば、役員報酬を支払うことで、所得を分散し、税負担を軽減することができます。
また、健康診断や福利厚生費なども経費として計上できます。

社会的な信用力の向上

個人事業主と比較して、マイクロ法人は社会的な信用力が高いと見なされる傾向があります。

「株式会社」という名称を使用することで、取引先や金融機関からの信頼感が高まり、円滑な取引や資金調達に繋がる可能性があります。 

特に、BtoB取引においては、法人格を持つことで取引のハードルが下がり、新たなビジネスチャンスの獲得に繋がるケースも少なくありません。
また、従業員の採用活動においても、法人格は企業の信頼性を示す重要な要素となり、優秀な人材の確保に有利に働く可能性があります。

資金調達の優位性

マイクロ法人は、個人事業主よりも資金調達において優位な立場にあります。

金融機関からの融資を受けやすくなるだけでなく、ベンチャーキャピタルからの投資や、クラウドファンディングなど、多様な資金調達手段を活用できる可能性が広がります。 
これは、法人格を持つことで事業の継続性や透明性が高まり、投資家や金融機関からの評価が向上するためです。
また、決算書の作成や会計処理がしっかり行われていることで、資金の使途が明確になり、融資の審査もスムーズに進みやすくなります。

メリット個人事業主マイクロ法人
税金所得税(累進課税)法人税(軽減税率の適用あり)
経費事業に直接関係する費用のみ給与、福利厚生費など幅広い範囲
信用力個人としての信用法人としての信用
資金調達比較的困難融資、投資など多様な手段

上記のように、マイクロ法人化には様々なメリットがあります。
しかし、設立費用やランニングコスト、会計処理の複雑化など、デメリットも存在します。

自身の事業状況や将来的な展望を踏まえ、メリット・デメリットを総合的に判断することが重要です。

マイクロ法人を設立するデメリット

マイクロ法人には多くのメリットがある一方で、設立前にしっかりと理解しておきたいデメリットも存在します。

安易に設立してしまうと、後々後悔する可能性もあるため、メリットだけでなくデメリットも理解した上で設立を検討しましょう。

設立費用とランニングコストの発生

個人事業主とは異なり、マイクロ法人を設立するには一定の費用が発生します。

具体的には、定款認証費用や登録免許税、司法書士への報酬などが挙げられます。
また、設立後もランニングコストとして、会計ソフトの利用料や税理士への報酬、社会保険料などの費用が発生します。
これらのコストは、事業規模が小さいマイクロ法人にとっては大きな負担となる可能性があります。

事業の収益が安定するまでは、これらのコストを賄えるだけの資金繰りを確保しておく必要があります。

以下に、設立費用とランニングコストの主な内訳をまとめました。

費用区分項目概算費用
設立費用定款認証費用5万円程度
登録免許税15万円程度
司法書士報酬5万円~10万円程度
ランニングコスト(年間)会計ソフト利用料1万円~3万円程度
税理士報酬20万円~50万円程度
社会保険料事業規模、役員報酬による
その他(事務所費用、通信費など)事業内容による

会計処理の複雑化

個人事業主の場合、確定申告に必要な書類は比較的シンプルですが、マイクロ法人となると、法人税、消費税、地方税など、申告する税金の種類が増え、会計処理も複雑になります。

複式簿記の知識が必要となるため、会計ソフトの利用や税理士への依頼が必須となるケースが多いでしょう。

会計処理に不慣れな場合、時間と労力を大きく取られる可能性があります。
また、税務調査が入った場合にも、適切な対応が必要となります。
これらの対応に時間を割かれることで、本業に集中できなくなる可能性も考慮する必要があります。

社会保険への加入義務

マイクロ法人であっても、法人の代表取締役は原則として社会保険(健康保険、厚生年金保険)の加入義務が生じます。

従業員を雇用する場合には、従業員数に応じて雇用保険や労災保険にも加入する必要があります。
これらの社会保険料は、法人と役員個人で折半して負担することになるため、個人事業主の場合と比較して、社会保険料の負担が増加する可能性が高いです。

特に、役員報酬が低い場合でも、社会保険料の負担は一定額以上発生するため、注意が必要です。
また、健康保険組合によっては、任意継続被保険者制度を利用するよりも、法人化して社会保険に加入する方が保険料が高くなるケースもあります。

マイクロ法人の設立方法

マイクロ法人を設立するには、いくつかの手続きが必要です。

具体的な手順は以下の通りです。

それぞれのステップで必要となる書類や手続きを理解し、確実に行いましょう。

定款の作成

定款とは、会社の基本的なルールを定めた文書です。

会社の目的や組織、運営方法などを記載します

電子定款と紙の定款の2種類があり、電子定款を作成する場合には電子署名が必要となります。

費用を抑えたい場合は電子定款の作成がおすすめです。

定款に記載する主な事項は以下の通りです。

  • 会社名
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額
  • 発起人の氏名・住所・印鑑

事業目的は、具体的な事業内容を記載する必要があります。

例えば、「インターネットを利用した情報提供サービス業」や「ソフトウェアの開発及び販売」などです。

将来的に事業拡大を検討している場合は、関連する事業も記載しておくと変更手続きの手間が省けます。

資本金の払い込み

資本金とは、会社設立時に出資されるお金のことです。

資本金は1円から設定可能ですが、事業内容によっては一定額以上の資本金が必要となる場合もあります。

資本金の払い込みは、発起人の個人口座から会社名義の口座へ振り込むことで行います。会社名義の口座は、法務局での登記申請前に開設することが可能です。

資本金は、事業の運転資金や設備投資などに充てられます。

資本金の額は事業計画に合わせて適切に設定することが重要です。
また、定款に記載した資本金の額を発起人が払い込む必要があります。

会社設立登記

会社設立登記は、法務局で行います。

登記申請には、定款や資本金の払い込みを証明する書類などが必要です。
これらの書類を法務局に提出することで、会社が正式に設立されます。オンラインでの申請も可能です。

提出する主な書類は以下の通りです。

書類名内容
会社設立登記申請書会社設立に関する基本情報
定款会社の基本ルール
資本金の払い込みを証明する書類通帳のコピーなど
印鑑届出書会社代表印の届出
発起人決定書発起人が会社の設立を決定したことを証明する書類

登記完了後、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を取得できます。
これは会社の正式な証明書となるため、銀行口座開設や取引先との契約などに必要となります。

税務署等への届出

会社設立登記が完了したら、税務署や都道府県税事務所、市町村役場などに届け出が必要です。

主な届出は以下の通りです。

届出先届出内容
税務署法人設立届出書、青色申告承認申請書など
都道府県税事務所法人設立届出書
市町村役場法人設立届出書
公共職業安定所(ハローワーク)事業所設置届
日本年金機構健康保険・厚生年金保険新規適用届

これらの届出は、設立日から2ヶ月以内に行う必要があります。

期限を守らないと罰則が科される場合があるので注意が必要です。
また、届出先は事業所所在地によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

これらの手続きをすべて完了することで、マイクロ法人の設立が完了します。設立後は、事業活動を開始し、適切な会計処理や税務申告を行う必要があります。

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マイクロ法人の税金

マイクロ法人が支払う主な税金の種類、計算方法、節税対策などについて詳しく解説します。

税金は経営に大きく影響する要素ですので、しっかりと理解しておきましょう。

法人税

マイクロ法人であっても、法人として認められる以上、法人税の納税義務が生じます。

法人税は、会社の利益に対して課税される税金です。法人税の税率は、課税所得に応じて異なります。

法人税率

課税所得税率
800万円以下15%
800万円超23.2%

マイクロ法人は、資本金1億円以下であるため、軽減税率の適用を受けることが可能です。

軽減税率が適用される場合、課税所得800万円以下の部分については、15%ではなく、より低い税率が適用されます。

法人税の計算方法

法人税の計算方法は、以下のとおりです。

課税所得 × 税率 = 法人税額

課税所得は、益金から損金を差し引いた金額です。

益金とは、事業活動によって得られた収入のことで、売上高や受取利息などが含まれます。

損金とは、事業活動のために支出された費用のことで、仕入費用や人件費、減価償却費などが含まれます。

法人税の節税対策

法人税の節税対策としては、以下のような方法が挙げられます。

  • 適切な経費計上
  • 設備投資による減価償却費の活用
  • 中小企業投資促進税制の活用

消費税

マイクロ法人は、原則として消費税の納税義務者となります。

ただし、設立から2期は免税事業者となることが可能です。

2期目まで課税売上高が1,000万円を超えなければ、その後も免税事業者でいることができます。

しかし、課税売上高が1,000万円を超えた場合は、課税事業者となり、消費税の納税義務が生じます。

消費税の計算方法

消費税の計算方法は、以下のとおりです。

課税売上高 × 消費税率 = 消費税額

現在の消費税率は10%です。

ただし、軽減税率の対象となる商品やサービスについては、8%の税率が適用されます。

消費税の節税対策

消費税の節税対策としては、以下のような方法が挙げられます。

  • 免税事業者の期間を最大限活用する
  • 課税仕入れと非課税仕入れを適切に区分する
  • インボイス制度への対応

地方税

マイクロ法人は、法人税や消費税に加えて、地方税の納税義務も負います。

地方税には、法人住民税、法人事業税、固定資産税などがあります。

法人住民税

法人住民税は、法人の所得に対して課税される税金です。

都道府県民税と市町村民税の2種類があります。

法人事業税

法人事業税は、法人の事業活動に対して課税される税金です。

固定資産税

固定資産税は、土地や建物などの固定資産に対して課税される税金です。

マイクロ法人が事業用として所有する固定資産に対して課税されます。

これらの税金は、事業の規模や内容によって金額が大きく変動します。

税理士などの専門家に相談することで、より正確な納税額を把握し、適切な節税対策を講 じることが可能になります。

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マイクロ法人と社会保険

マイクロ法人が社会保険に加入する際の注意点や、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険について詳しく解説します。

法人化によって社会保険への加入義務が生じるため、事前に制度を理解し、適切な対応が必要です。

健康保険

マイクロ法人を設立すると、原則として従業員(役員を含む)は健康保険に加入する義務が生じます。
これは従業員数に関わらず適用されます。健康保険に加入することで、病気やケガの治療費の負担が軽減されるだけでなく、出産手当金や傷病手当金などの給付も受けられます。

マイクロ法人には、協会けんぽと健康保険組合の2つの選択肢があります。

従業員数が少ない場合は、一般的に協会けんぽへの加入が手続きも簡便です。

厚生年金保険

健康保険と同様に、マイクロ法人の従業員(役員を含む)は厚生年金保険にも加入する義務があります。

厚生年金保険は、老後の生活を支えるための年金制度です。将来受け取れる年金額は、加入期間や納付した保険料に基づいて計算されます。

健康保険と厚生年金保険はセットで加入するため、手続きも同時に進めることができます。

雇用保険

雇用保険は、失業した場合の生活を保障するための制度です。

マイクロ法人が従業員を雇用する場合、原則として雇用保険に加入させる義務があります。

ただし、短時間労働者など一部例外も存在しますので、管轄のハローワークに確認することをお勧めします。

雇用保険料は、事業主と従業員が負担します。雇用保険に加入することで、従業員は失業した場合に失業給付を受け取ることができ、再就職活動を支援されます。

労災保険

労災保険は、業務中や通勤途中の災害によるケガや病気に対して補償する制度です。

マイクロ法人であっても、従業員を雇用している場合は、労災保険に加入させる義務があります。労災保険料は全額事業主が負担します。

労災保険に加入することで、従業員は業務災害や通勤災害に遭った場合に、療養費や休業補償給付などの給付を受けることができます。

従業員を一人でも雇用している場合は、必ず労災保険に加入する必要があります。

保険の種類加入義務被保険者保険料負担主な給付
健康保険あり従業員(役員を含む)事業主と従業員が折半療養費、出産手当金、傷病手当金など
厚生年金保険あり従業員(役員を含む)事業主と従業員が折半老齢年金、障害年金、遺族年金など
雇用保険原則あり(一部例外あり)従業員事業主と従業員が負担失業給付、育児休業給付など
労災保険あり従業員事業主が全額負担療養費、休業補償給付、障害補償給付など

これらの社会保険制度は、マイクロ法人を運営していく上で非常に重要な要素となります。

設立前に制度内容をしっかりと理解し、必要となる手続きや費用を把握しておくことが重要です。

不明点があれば、社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めします。

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マイクロ法人によくあるQ&A

マイクロ法人設立に関するよくある質問とその回答をまとめました。

疑問を解消し、設立準備を進めましょう。

資本金はいくら必要ですか?

資本金は1円から設定可能です。ただし、資本金が少なすぎると、取引先からの信用度に影響を与える可能性があります。事業内容や規模、必要な運転資金などを考慮し、適切な金額を設定しましょう。資本金の額によって、法人設立時の登録免許税も変動します。100万円を超えると高くなりますので、注意が必要です。

設立にかかる費用はどのくらいですか?

設立にかかる費用は、大きく分けて登録免許税と定款認証手数料、司法書士報酬の3つです。電子定款を利用すれば定款認証手数料は不要です。登録免許税は資本金の額によって変動し、最低で15万円です。司法書士に依頼する場合は、報酬が別途発生します。ご自身で手続きを行う場合は、この報酬は不要です。また、定款に貼る収入印紙代も必要です。

事業内容を変更することはできますか?

事業内容の変更は可能です。定款に記載されている事業目的を変更する場合は、株主総会の決議と登記変更が必要になります。変更内容によっては、官公庁への届出も必要です。変更手続きは多少の手間と費用がかかりますので、設立時は将来の事業展開も視野に入れて、幅広い事業目的を記載しておくことをおすすめします。

マイクロ法人の設立に必要な書類は何ですか?

設立に必要な書類は、主に以下のとおりです。

書類名 内容
定款 会社の基本的なルールを定めたもの
設立登記申請書 法務局に設立を申請するための書類
就任承諾書 役員の就任を承諾する旨を記載した書類
印鑑届出書 会社代表印を登録するための書類
資本金の払込証明書 資本金の払込を証明する書類

これらの書類は、正確に作成する必要があります。専門家である司法書士や行政書士に依頼すると、スムーズに手続きを進めることができます。

マイクロ法人でも社会保険に加入する必要がありますか?

原則として、従業員を雇用している場合は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険に加入する義務があります。役員のみの会社でも、条件によっては社会保険への加入が必要になります。役員が他に勤務先があり、そこで社会保険に加入している場合は、マイクロ法人での加入は不要なケースが多いです。ただし、詳細な条件は複雑ですので、社会保険労務士に相談することをおすすめします。

税務署や市町村への手続きは?

法人設立後、税務署や都道府県税事務所、市町村役場などに、様々な届出が必要です。主な届出は以下のとおりです。

届出先 届出
税務署 法人設立届出書、青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書など
都道府県税事務所 法人設立届出書など
市町村役場 法人設立届出書など

これらの手続きは期限が定められています。期限内に手続きを行わないと、罰則が適用される場合もありますので、注意が必要です。

マイクロ法人を設立する際の注意点は何ですか?

マイクロ法人を設立する際には、以下の点に注意しましょう。

  • ランニングコストを把握する:法人運営には、税金や社会保険料などのランニングコストが発生します。設立前にしっかりと試算し、事業計画に組み込みましょう。
  • 会計処理を適切に行う:法人には、複式簿記による会計処理が義務付けられています。会計ソフトの導入や税理士への相談などを検討し、適切な会計処理を行いましょう。
  • 事業計画を綿密に立てる:マイクロ法人設立の目的を明確にし、実現可能な事業計画を立てましょう。事業計画は、資金調達や融資を受ける際にも重要となります。

顧問税理士は必要ですか?

顧問税理士は必須ではありませんが、税務や会計処理に関する専門知識を持つ税理士に相談することで、節税対策や経営上のアドバイスを受けることができます。特に、複雑な会計処理や税務申告に慣れていない場合は、顧問税理士をつけることをおすすめします。顧問税理士への報酬は発生しますが、結果的に節税効果が得られる場合もあります。
会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

まとめ

この記事では、「マイクロ法人とは何か」について、設立方法からメリット・デメリット、税金、社会保険まで詳しく解説しました。

マイクロ法人は、従業員10人以下または資本金5,000万円以下の小規模な株式会社です。

中小企業や個人事業主とは異なる点があり、特に個人事業主と比較した場合、社会的な信用力向上や資金調達の優位性といったメリットがあります。

一方で、設立費用やランニングコストの発生、会計処理の複雑化といったデメリットも存在します。

節税効果はメリットとして挙げられますが、法人税率の優遇や経費の範囲拡大を過度に期待するのではなく、事業規模や収益に見合った適切な判断が必要です。

社会保険への加入義務も発生するため、コスト増加も考慮しなければなりません。設立手続きは、定款作成、資本金払い込み、会社設立登記、税務署等への届出など、いくつかの段階を踏む必要があります。

マイクロ法人設立を検討する際は、メリット・デメリット、設立手順、税金、社会保険について十分に理解した上で、自身の事業計画や状況に最適な選択をすることが重要です。

専門家への相談も有効な手段です。この記事が、皆様の意思決定の一助となれば幸いです。

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