合同会社設立で失敗しないための税金ガイド！節税対策から納税まで徹底解説

合同会社を設立しようと考えている方、または既に経営されている方で、税金について詳しく知りたいと思っていませんか？

合同会社の税金は、種類も多く複雑で、理解するのが難しいと感じる方も多いでしょう。

このページでは、合同会社にかかる税金の種類を法人税、消費税、地方税（住民税、事業税）、印紙税など、網羅的に解説します。

設立時の登録免許税や定款認証に関わる印紙税についても分かりやすく説明しています。
さらに、経費の計上や役員報酬の最適化、少人数私募債といった具体的な節税対策も紹介。

合同会社と株式会社の税金比較や、それぞれの税金の計算方法、電子納税・窓口納税・振込納税といった納税方法まで、実務に役立つ情報を網羅しています。

この記事を読むことで、合同会社の税金に関する疑問を解消し、適切な納税と効果的な節税対策が可能になります。

ぜひ、最後まで読んで、合同会社経営を成功に導くための税金知識を身につけてください。

合同会社の税金の種類

合同会社を運営する上で、避けては通れないのが税金です。

税金の種類を理解し、適切な納税を行うことは、健全な経営を続ける上で非常に重要です。

合同会社には、主に法人税、消費税、地方税（住民税、事業税）、印紙税といった税金が課せられます。
これらの税金について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

法人税

法人税は、合同会社の所得に対して課せられる国税です。

法人税の税率は、課税所得に応じて変動します。

資本金1億円以下の普通法人では、年800万円までの課税所得に対して15%、それを超える部分に対して23.2%の税率が適用されます（令和5年4月1日以降開始事業年度）。
また、地方税として法人住民税が課税されます。法人税の計算は複雑なため、税理士に相談することをお勧めします。

消費税

消費税は、商品の販売やサービスの提供などに対して課せられる国税です。

標準税率は10%です（令和元年10月1日以降）。
ただし、軽減税率の対象となる商品やサービスは8%です。
また、一定の要件を満たす中小企業には、消費税の納税義務を免除する制度（軽減税率制度の経過措置）があります。
この制度の適用を受けるためには、基準期間（原則として2期前）の課税売上高が1,000万円以下である必要があります。

消費税の申告は、原則として1年ごとに行います。

地方税

地方税は、地方自治体の財源となる税金です。

合同会社に課せられる地方税には、主に住民税と事業税があります。

住民税

住民税は、地方自治体に納める税金で、均等割と所得割からなります。
均等割は、法人の存在自体に対して課せられる税金で、都道府県民税と市町村民税の2種類があります。
所得割は、法人の所得に対して課せられる税金です。
住民税の税率は、地方自治体によって異なります。

事業税

事業税は、事業活動に対して課せられる地方税です。
事業の種類や規模、所在地などによって税率や課税方法が異なります。
例えば、東京都の場合は、資本金1億円以下の法人に対しては、課税標準の5%の税率が適用されます。

印紙税

印紙税は、契約書や領収書などの文書に印紙を貼って納める国税です。

課税対象となる文書の種類や金額によって、必要な印紙の金額が異なります。

例えば、資本金の額が1億円以下の合同会社の設立登記の際の登記に関する課税文書には、15万円の印紙税がかかります。

上記の税金以外にも、事業内容によっては、固定資産税や不動産取得税などの税金が課される場合もあります。

税金に関する最新の情報は、国税庁や地方自治体のウェブサイトなどを参照するか、税理士に相談することをお勧めします。

合同会社設立時の税金

合同会社を設立する際には、いくつかの税金が発生します。
これらの税金を理解し、事前に準備しておくことで、設立手続きをスムーズに進めることができます。

主な税金は以下の通りです。

設立時の登録免許税

合同会社を設立するためには、法務局に設立登記を申請する必要があります。
この申請時に納付が必要となるのが登録免許税です。

登録免許税は、資本金の額に応じて金額が変わります。

資本金1,000万円以下の場合は一律15万円です。これは株式会社の最低税額である15万円と同じです。
そのため、資本金の額が少ないうちは、株式会社よりも合同会社の方が登録免許税の負担が軽くなる可能性があります。

電子定款を作成する場合は、登録免許税の軽減措置が受けられます。

紙の定款で申請する場合には印紙税が別途必要になりますが、電子定款を利用することでこの印紙税が不要となるため、実質的に登録免許税が軽減されることになります。

具体的には、収入印紙代として4万円の軽減を受けることができます。

定款認証の印紙税

合同会社の定款は、公証役場で認証を受ける任意認証と、認証を受けない私認証の2つの方法があります。

任意認証を選択した場合には、定款に貼付する収入印紙が必要となり、これが印紙税に該当します。

電子定款を利用する場合はこの印紙税は不要です。

印紙税は、定款のページ数に関わらず4万円です。
この費用を節約するために、電子定款を作成するケースが増えています。

私認証を選択した場合、公証役場での認証は不要となるため、印紙税も発生しません。
そのため、設立費用を抑えることができます。
ただし、私認証の場合、社員全員の実印と印鑑証明書が必要になります。
また、会社設立後の手続きで、金融機関によっては私認証の定款では口座開設ができない場合もあるので注意が必要です。

設立時の税金は、会社設立のための必要経費として計上できます。
これらの税金について事前に理解し、適切な準備を行うことで、スムーズな会社設立を実現できるでしょう。

合同会社の節税対策

合同会社は、株式会社に比べて節税しやすい側面があります。

適切な節税対策を行うことで、健全な経営を維持しながら税負担を軽減し、事業の発展に繋げることができます。

ここでは、合同会社における効果的な節税対策を詳しく解説します。

経費の計上

事業に関連する費用は、経費として計上することで課税所得を減らし、節税効果が期待できます。
ただし、プライベートな支出を経費として計上することは認められていません。

経費として計上できるものとできないものを正しく理解し、適切な経費計上を行いましょう。

経費計上のポイント

経費計上において重要なのは、事業関連性と証拠書類の保管です。
事業に関連する費用であることを明確にするために、領収書や請求書などの証拠書類を必ず保管しておきましょう。
また、日付、金額、取引先、内容などが記載されているか確認することも重要です。
領収書がない場合は、出金伝票を作成し、誰と何のために使ったのかを記録しておきましょう。

役員報酬の最適化

合同会社では、役員報酬を経費として計上できます。

役員報酬を適切に設定することで、所得税と法人税のバランスを取り、全体の税負担を軽減することができます。
ただし、役員報酬は、社会通念上妥当な金額である必要があります。

同業種・同規模の企業の役員報酬を参考にしながら、適切な金額を設定しましょう。

税務調査で否認されないためにも、根拠を明確にしておくことが重要です。

役員報酬の決定方法

役員報酬を決定する際には、以下の要素を総合的に考慮する必要があります。

• 会社の業績
• 役員の職務内容・責任
• 労働時間
• 同業他社の役員報酬

少人数私募債の活用

少人数私募債は、親族や従業員など、特定少数の者から資金を調達する方法です。

少人数私募債を発行することで、支払利息を経費として計上できるため、節税効果が期待できます。
また、金融機関からの借入と比較して、手続きが簡素であるというメリットもあります。
ただし、発行にあたっては一定の要件を満たす必要があります。

少人数私募債の種類

少人数私募債には、様々な種類があります。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社に合ったものを選択することが重要です。

• 社債
• 新株予約権付社債

これらの節税対策は、単独で行うだけでなく、組み合わせて行うことで、より大きな効果を発揮します。

専門家である税理士に相談しながら、自社に最適な節税対策を実施しましょう。

税理士に相談することで、最新の税制改正の情報を得たり、より効果的な節税プランを策定したりすることができます。
また、税務調査の際にも適切なサポートを受けることができます。

合同会社と株式会社の税金比較

合同会社と株式会社は、どちらも法人形態ですが、税金の計算方法や納税方法に違いがあります。

それぞれの税金の種類について比較することで、自身に最適な法人形態を選択する判断材料にしてください。

法人税

法人税は、法人所得に対して課税される国税です。合同会社と株式会社の法人税率は基本的に同じです。
しかし、適用される税率や控除、事業年度などが異なる場合があります。

資本金1億円以下の法人に対する軽減税率制度など、両法人形態に適用される制度もあります。

消費税

消費税は、商品の販売やサービスの提供などに対して課税される国税です。

課税事業者となる基準は、合同会社と株式会社で共通です。

2年前の課税売上高が1,000万円を超えた場合、原則として課税事業者となります。

免税事業者の場合は、消費税の納税義務はありませんが、仕入税額控除を受けることもできません。

地方税

地方税は、地方公共団体に納める税金です。

合同会社と株式会社が納める地方税の種類はほぼ同じですが、法人住民税の均等割の金額が異なる場合があります。

均等割は、法人所得にかかわらず一定額を納める税金です。

住民税

住民税は、地方公共団体に納める税金であり、均等割と所得割があります。
均等割は、株式会社の場合、資本金や従業員数に応じて金額が変動しますが、合同会社の場合は資本金の概念がないため、従業員数や事業所の所在地によって金額が決定されます。
所得割は、法人所得に対して課税されます。

事業税

事業税は、事業を行うことに対して課税される地方税です。
合同会社と株式会社の事業税率は基本的に同じです。
事業の種類や規模によって、税率や控除が異なる場合があります。
事業税は、地方自治体によって税率が異なる場合があるので、注意が必要です。

合同会社の税金計算方法

合同会社の税金計算は、複雑に思えるかもしれませんが、基本的な計算方法を理解すれば自身で行うことも可能です。
もちろん、税理士に依頼することもできます。

この章では、主要な税金である法人税、消費税、地方税の計算方法を解説します。

正確な税額は、最新の税法に基づいて計算する必要があるため、あくまで参考としてご活用ください。

法人税の計算方法

法人税は、会社の利益に対して課税される税金です。

計算式は以下の通りです。

• 法人税 = 課税所得 × 税率

ここで、課税所得は、益金（会社の収入）から損金（会社の経費）を差し引いた金額です。

損金を適切に計上することで、課税所得を圧縮し、節税効果を高めることができます。

税率は、資本金1億円以下であれば、年800万円までの課税所得に対して15%、それを超える部分には23.2%です（令和5年4月1日現在）。

課税所得の計算

• 課税所得 = 益金 – 損金

益金には、商品の売上高、サービスの提供料、受取利息などが含まれます。
損金には、仕入費用、人件費、地代家賃、減価償却費などが含まれます。
損金算入できる項目は多岐にわたるため、税法をよく理解し、適切に計上することが重要です。

税額控除

法人税額から控除できるものには、研究開発税額控除、中小企業投資促進税制などがあります。
これらの税額控除を適用することで、さらに税負担を軽減できる可能性があります。

消費税の計算方法

消費税は、商品の販売やサービスの提供などに対して課税される税金です。

原則として、課税売上高に10%を乗じて計算します。
ただし、インボイス制度導入に伴い、仕入税額控除の適用要件が厳格化されているため注意が必要です。

課税売上高

課税売上高は、消費税の課税対象となる売上高です。
非課税取引（土地の譲渡など）や免税取引（輸出取引など）は含まれません。

消費税額の計算

• 消費税額 = 課税売上高 × 10%

仕入税額控除

仕入税額控除は、事業のために仕入れた商品やサービスに係る消費税額を、納付すべき消費税額から差し引くことができる制度です。
適格請求書保存方式（インボイス制度）に基づいて、適格請求書を取得する必要があるため、注意が必要です。

地方税の計算方法

地方税には、都道府県に納める法人事業税（地方税）と、市町村に納める法人住民税（地方税）があります。

それぞれ計算方法が異なります。

法人事業税（地方税）の計算方法

法人事業税（地方税）は、各都道府県によって税率が異なります。
お住まいの都道府県の税率を確認する必要があります。
課税標準となるのは、原則として法人税の課税所得です。

法人住民税（地方税）の計算方法

法人住民税（地方税）は、均等割と法人税割から成ります。
均等割は、資本金等の額に応じて定められています。
法人税割は、法人税の課税所得を基に計算されます。

税制は頻繁に改正されるため、常に最新の情報を確認することが重要です。
税務署や税理士に相談することで、より正確な税額計算と節税対策が可能になります。

合同会社の納税方法

合同会社の納税は、主に以下の3つの方法があります。

それぞれの方法の特徴を理解し、自社に合った方法を選択しましょう。

電子納税

電子納税は、インターネットを利用して税金を納付する方法です。

e-Tax、地方税ポータルシステム（eLTAX）などを利用します。時間や場所を選ばずに納税できるため、非常に便利です。
また、納税証明書の発行もスムーズに行えます。

e-Tax

国税である法人税、消費税、源泉所得税などを納付できます。
利用開始には、事前に利用者識別番号の取得が必要です。
また、電子証明書が必要となる手続きもあります。

地方税ポータルシステム（eLTAX）

地方税である住民税、事業税などを納付できます。
こちらも利用開始手続きが必要です。

窓口納税

窓口納税は、金融機関や税務署の窓口で直接納付する方法です。

インターネット環境が不要である一方、窓口の営業時間内に手続きを行う必要があります。
また、納付書が必要です。
そのため、期限間近の場合は、窓口が混雑している可能性も考慮しなければなりません。

対応している金融機関は、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合など多岐にわたります。

事前に取扱金融機関を確認しておきましょう。

振込納税

振込納税は、銀行口座から税金を納付する方法です。

インターネットバンキングやATMからも利用可能です。
ただし、正しい納付情報を入力する必要があり、誤った情報で納付した場合、納付が無効となる可能性があります。
また、振込手数料が発生する場合があります。

都道府県税、市町村税の場合、ペイジーを利用した納付も可能です。

これらの納税方法以外にも、コンビニエンスストアで納付できる場合もあります。

詳しくは、お近くの税務署または地方自治体にお問い合わせください。

適切な納税方法を選択し、スムーズな納税を心がけましょう。

合同会社　税金に関するよくある質問

合同会社の税金について、よくある質問とその回答をまとめました。

設立を検討している方や、既に合同会社を運営している方の疑問解消に役立ててください。

合同会社の税金は高いですか？

合同会社設立時の税金還付はありますか？

合同会社の節税相談はどこにすれば良いですか？

合同会社と株式会社の税務上の違いは何ですか？

合同会社の消費税の納税義務はいつから発生しますか？

合同会社で複数の事業を行う場合の税金はどうなりますか？

青色申告と白色申告の違いは何ですか？

まとめ

合同会社は、設立費用や手続きが比較的簡単で、自由度の高い経営が可能なことから、近年注目を集めています。
しかし、税金に関しては、株式会社と異なる部分もあるため、設立前にしっかりと理解しておくことが重要です。

この記事では、合同会社の税金の種類、設立時や日々の運営における税金、節税対策、そして株式会社との比較など、網羅的に解説しました。
特に重要なのは、経費の計上や役員報酬の最適化といった節税対策です。

適切な対策を行うことで、税負担を軽減し、事業の成長を促進することができます。
また、少人数私募債の活用も有効な手段となるでしょう。税金計算や納税方法についても理解し、スムーズな納税を心がけましょう。

電子納税は、時間と手間を節約できる便利な方法です。

合同会社の税金は複雑に感じるかもしれませんが、この記事で解説した内容を理解し、必要に応じて税理士などの専門家に相談することで、安心して事業を運営していくことができるでしょう。

税金に関する疑問を解消し、事業の成功につなげてください。