【完全ガイド】2人で会社設立!失敗しないための全手順と注意点を専門家が解説

2人で会社設立をお考えですか?パートナーとの起業は大きな強みになりますが、お金や役割分担での失敗も少なくありません。

この記事を読めば、共同経営のメリットを最大化し、トラブルを未然に防ぐ具体的な方法がすべてわかります。

2人での会社設立を成功させる最大の鍵は、登記手続き前の徹底した「ルール作り」と、それを法的に担保する「共同経営契約書」の作成です。

本記事では、株式会社・合同会社それぞれの設立手順から、出資比率や役員報酬の決め方、意見対立時の解決策まで、失敗しないための全知識を専門家が網羅的に解説します。

2人で会社設立を成功させるための心構え

2人で会社を設立することは、1人での起業にはない大きな可能性を秘めています。

互いのスキルや経験を補い合い、精神的な支えとなるパートナーの存在は、事業を推進する強力なエンジンとなるでしょう。

しかし、その一方で、共同経営は人間関係のトラブルが事業失敗の直接的な原因になりやすいという側面も持っています。

成功の鍵を握るのは、会社設立という手続きを始める前の「心構え」の共有です。

ここでは、2人で事業を成功に導くために不可欠な、4つの心構えについて解説します。

「他人と会社を経営する」という覚悟を持つ

たとえ長年の友人や家族であっても、ビジネスの世界では一人の「共同経営者」です。

プライベートな関係性に甘えてしまうと、ビジネス上の重要な判断が曖昧になり、後々大きな問題に発展しかねません。

まず最初に、「親しい仲でもビジネスパートナーは他人である」という認識を共有し、一定の緊張感を持つ覚悟が必要です。

ビジネスパートナーとして接するとは、感情的な対立を避け、常に客観的な事実やデータに基づいて議論する姿勢を意味します。

プライベートでの関係が深いほど、意見の対立を恐れて本音を言えなくなったり、逆に遠慮なく感情をぶつけてしまったりしがちです。

しかし、会社の経営は感傷や馴れ合いで乗り切れるものではありません。

お互いをビジネスのプロフェッショナルとして尊重し、冷静かつ建設的なコミュニケーションを心がけることが、長期的な成功の第一歩となります。

互いの価値観とビジョンを徹底的にすり合わせる

事業の航海において、パートナーと目指す目的地が異なっていては、いずれ船は座礁してしまいます。

会社設立前に、事業に対する根本的な価値観や将来のビジョンを徹底的にすり合わせておくことが極めて重要です。

なぜこの事業をやるのか、事業を通じて何を成し遂げたいのか、どのような会社にしていきたいのか、時間をかけてお互いの考えを深く理解し合いましょう。

特に、以下の項目については、具体的な言葉で確認し合うことを強く推奨します。

このすり合わせが曖昧なまま事業を開始すると、日々の意思決定のズレが積み重なり、経営方針を巡る深刻な対立につながる可能性があります。

カテゴリ確認すべき具体的な内容
経営理念・ビジョン事業の目的(Why)、ミッション(What)、行動指針(How)。3年後、5年後、10年後の会社の姿。
働き方・労働観理想の労働時間、休日の考え方、ワークライフバランスの優先度。リモートワークやフレックスタイムへの考え方。
お金に対する価値観利益の考え方(短期的な利益か、長期的な投資か)。コスト意識、節約と投資のバランス感覚。
事業の出口戦略最終的な目標(IPO、M&A、事業承継など)。撤退する際の基準(赤字継続期間、市場の変化など)。

信頼とリスペクトを土台とした関係を築く

共同経営における「信頼」とは、単に「この人なら裏切らないだろう」というレベルのものではありません。

パートナーの持つスキルや専門知識、判断力を信じ、任せるべきところは完全に任せるという「信頼」です。

そして、それ以上に重要なのが「リスペクト(尊敬)」です。

自分とは異なる意見や価値観であっても、その背景にあるパートナーの考えや人格を尊重する姿勢が不可欠です。

互いの得意なことは最大限に活かし、不得意なことは補い合う相互補完の関係こそが、2人で起業する最大の強みです。

意見が対立した際も、相手の人格を攻撃するのではなく、あくまで「意見」そのものに対して、会社の成長という共通の目的のために建設的な議論を行う。

このリスペクトに満ちた関係性が、困難な局面を乗り越えるための強固な土台となります。

最悪の事態を想定し、事前に話し合う

これから夢に向かって走り出そうという時に、ネガティブな話はしにくいものです。

しかし、成功するパートナーシップを築くためには、あえて「最悪の事態」を想定し、その際のルールを事前に話し合っておく必要があります。

「事業が全くうまくいかなかったらどうするか」「どちらかが病気や事故で働けなくなったらどうするか」「経営方針の違いから、どうしても袂を分かちたくなったらどうするか」。

こうした「もしも」の話を避けてしまうと、いざ問題が現実に起こった際、感情的な対立や泥沼の争いに発展しかねません。

起こりうるリスクを直視し、冷静なうちに解決策を話し合っておくことこそが、お互いの関係性を守り、事業資産を公正に守るための最善のリスク管理です。

この話し合いは、後の章で解説する「共同経営契約書」を作成する上での重要な基礎となります。

事前に厳しい現実を共有しておく覚悟が、2人の絆をより強固なものにするでしょう。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

メリット・デメリットから見る2人での会社設立

1人で会社を設立する「一人起業」とは異なり、2人で会社を設立する共同経営には、特有の強みと、逆に注意すべき問題点が存在します。

事業を始める前にパートナーと両側面を深く理解し、共通認識を持つことが、成功への第一歩です。

ここでは、2人で会社を設立する際のメリットとデメリットを具体的に掘り下げていきましょう。

2人で起業するからこその強み

信頼できるパートナーと共に事業を始めることは、一人起業にはない数多くのメリットをもたらします。

資金面やスキル面だけでなく、精神的な支えがあることも大きな強みです。

具体的にどのようなメリットがあるのか、見ていきましょう。

メリット具体的な内容
スキルの補完互いの得意分野を活かせます。
例えば、一方が営業やマーケティングに強く、もう一方が技術開発や経理に詳しければ、一人では成し得ない質の高い事業運営が可能になります。
弱点を補い合うことで、より完成度の高いサービスや製品を生み出せます。
資金調達力の向上それぞれが自己資金を出し合うことで、より多くの資本金を用意できます。
資本金の額は会社の信用度にも繋がるため、日本政策金融公庫などの金融機関から融資を受ける際にも有利に働くことがあります。
客観的な意思決定経営判断に迷ったとき、1人では主観に偏りがちですが、2人いれば多角的な視点で議論できます。
異なる意見をぶつけ合うことで、よりリスクが少なく、精度の高い意思決定に繋がります。
精神的な支え起業当初は、事業のプレッシャーや将来への不安に苛まれることも少なくありません。
喜びも苦労も分かち合えるパートナーの存在は、困難を乗り越えるための大きな精神的支柱となります。
業務の分担と効率化創業期はやるべきことが山積みです。
営業、開発、経理、総務といった多岐にわたる業務を分担することで、一人で抱え込むよりも圧倒的に早く事業を推進できます。
これにより、事業の成長スピードを加速させることが可能です。

共同経営で起こりうる問題点

多くのメリットがある一方で、2人だからこそ発生しうる問題点も存在します。

特に「お金」と「意思決定」に関する対立は、人間関係の悪化に直結し、最悪の場合、会社の存続を揺るがす事態にもなりかねません。

事前にリスクを把握し、対策を講じておくことが極めて重要です。

問題点具体的な内容
意思決定の遅延重要な経営方針や投資判断などで意見が対立した場合、合意形成に時間がかかり、ビジネスチャンスを逃す恐れがあります。
特に50:50の株式比率の場合、どちらも決定権を持てず、経営が停滞するリスクが高まります。
責任の所在の曖昧化問題が発生した際に、担当領域が明確でないと「どちらの責任か」が曖昧になりがちです。
責任のなすりつけ合いが始まると、パートナー間の信頼関係は一気に崩壊します。
利益・報酬を巡る対立「自分の方が会社に貢献している」という思いから、役員報酬や利益の配分を巡って対立が生まれやすい問題です。
創業時の貢献度と、事業が成長した後の貢献度が変化することもあり、不公平感が生まれやすくなります。
パートナーの離脱リスクパートナーが健康上の問題や家庭の事情、あるいは事業へのモチベーション低下などを理由に、経営から離脱する可能性があります。
その際、株式や会社財産をどう扱うかで深刻なトラブルに発展することがあります。
プライベートな関係性の悪化特に友人や親族と起業した場合、仕事上の対立がプライベートな人間関係にまで悪影響を及ぼすことがあります。
一度こじれてしまうと、会社の経営だけでなく、それまでの大切な関係性すら失いかねません。

これらのメリット・デメリットを冷静に比較検討することが、2人での会社設立を成功させるための第一歩です。

次の章では、これらの問題点を未然に防ぐための具体的な「ルール作り」について詳しく解説していきます。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

【意思決定編】2人で会社を経営するためのルール作り

2人で会社を設立し、事業を成功に導くためには、強固な信頼関係と明確なルールが不可欠です。

特に、日々の業務運営や重要な経営判断における「意思決定」のルールは、共同経営の根幹をなす最も重要な要素と言えるでしょう。

ここでは、パートナーとの健全な関係を維持し、迅速かつ的確な経営判断を下すためのルール作りのポイントを具体的に解説します。

感情的な対立を避け、ビジネスとして成功するための仕組みを構築しましょう。

役割分担の明確化

「仲が良いから」「お互い言わなくても分かるから」といった理由で役割分担を曖昧にすることは、将来のトラブルの元です。

それぞれの得意分野や経験を活かし、責任の所在を明確にすることで、業務の重複や抜け漏れを防ぎ、生産性を最大化できます。

どちらが何に対して最終的な責任を持つのかを、創業時に徹底的に話し合って決めましょう。

役割分担を検討する際は、以下の表のように業務内容と最終決定権者を具体的に言語化することをおすすめします。

担当領域主な業務内容最終決定権者
経営戦略・財務事業計画の策定、資金調達、予実管理、銀行折衝、株主対応Aさん(CEO)
営業・マーケティング新規顧客開拓、既存顧客フォロー、広告宣伝、広報活動、Webサイト運営Bさん(CMO)
商品開発・技術製品・サービスの企画開発、品質管理、インフラ管理、技術調査Aさん(CTO)
人事・総務採用活動、労務管理、社内規定整備、オフィス管理、法務関連Bさん(COO)

上記はあくまで一例です。

事業内容やそれぞれのスキルセットに応じて、最適な分担を模索してください。

重要なのは、「どちらの担当か分からない」というグレーゾーンをなくし、各々が責任を持って業務を遂行できる体制を整えることです。

意思決定プロセスの確立

共同経営において最も意見が衝突しやすいのが、この意思決定の場面です。

事前にルールを決めておかなければ、日常の些細な判断から会社の将来を左右する重要な決断まで、あらゆる場面で対立の火種となり得ます。

そうした事態を避けるため、決定事項の重要度に応じて、意思決定のプロセスを明確に定めておきましょう。

一般的に、意思決定は以下の3つのレベルに分類してルールを定めるのが効果的です。

レベル決定事項の例決定プロセス
レベル1:日常業務の判断担当領域内の日々の業務、少額の経費(例:10万円未満)の執行各担当役員の裁量で決定。事後報告で可。
レベル2:重要な経営判断新規事業への投資、高額な経費(例:10万円以上)の執行、従業員の採用2人の合議により決定。原則として両者の合意を必要とする。
レベル3:会社の根幹に関わる最重要判断定款の変更、事業の売却・譲渡、増資、役員の追加・解任、会社の解散株主総会での特別決議など、会社法に定められた手続きに則り、2人の全会一致で決定。

特に注意すべきは「レベル2:重要な経営判断」です。

意見が対立して事業が停滞する「デッドロック」状態に陥るリスクが最も高い領域だからです。

デッドロックを避けるため、「株式保有比率が多い方の意見を優先する」「あらかじめ定めておいた社外のアドバイザーに判断を委ねる」といった最終的な決定ルール(キャスティングボート)も併せて決めておくことが、健全な経営の秘訣です。

報告・連絡・相談のルール

役割分担を明確にすると、それぞれの業務領域が見えにくくなるという側面もあります。

片方が何をしているか分からないという「情報の非対称性」は、不信感や疑念を生み出す温床です。

お互いの状況を常に把握し、透明性の高い経営を行うために、情報共有、すなわち「報告・連絡・相談(報連相)」のルールを徹底しましょう。

定例会議の実施

定期的に顔を合わせて情報共有する場は必須です。
事業のフェーズにもよりますが、創業初期は少なくとも週に1回は定例ミーティングを実施しましょう。

  • 頻度:毎週月曜日の午前中など、曜日と時間を固定する。
  • アジェンダ(議題):前週の進捗確認、今週の目標設定、各担当領域からの報告・相談事項、経営課題の協議など、事前にアジェンダを共有する。
  • 議事録:決定事項や懸案事項を必ず記録し、両者で確認する。認識の齟齬を防ぎ、後のトラブル回避につながります。

情報共有ツールの活用

日々の細かな情報共有には、ビジネスチャットツールの活用が非常に有効です。
例えば、SlackやMicrosoft Teams、Google Chatなどを導入し、案件ごとや部署ごとにチャンネルを分けることで、情報の整理がしやすくなります。

重要なのは、口頭でのやり取りだけでなく、テキストベースで記録を残す習慣をつけることです。
「言った・言わない」の水掛け論を防ぎ、円滑なコミュニケーションを促進します。

緊急時の連絡方法

システム障害や重大なクレーム、メディアからの急な取材依頼など、即時の判断や対応が求められる緊急事態も起こり得ます。
どのような事態を「緊急」と定義し、その際にどのような手段(例:電話を最優先する、など)で連絡を取り合うのかをあらかじめ決めておくことで、有事の際にも冷静かつ迅速に行動できます。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

【お金編】出資・利益・報酬の決め方

2人での会社設立において、お金に関するルール決めは最も重要かつデリケートな問題です。

良好な人間関係も、お金の問題が絡むと一瞬で崩れ去る可能性があります。

ここでは、後々のトラブルを未然に防ぎ、健全な会社経営を続けるための「出資・利益・報酬」の決め方について、具体的なルール作りのポイントを徹底解説します。

資本金の出資比率と株式の保有割合

会社の設立時に払い込む資本金は、会社の体力となるだけでなく、誰がどのくらいの権限を持つかを決定づける重要な要素です。

出資額に応じて割り当てられる株式の保有割合は、会社の所有権そのものであり、経営に関する意思決定権(議決権)の大きさに直結します。

2人で会社を設立する場合、出資比率の決め方にはいくつかのパターンが考えられます。

それぞれのメリット・デメリットを理解し、お互いが納得できる比率を決定しましょう。

出資比率のパターンメリットデメリット・注意点
50%:50%(対等)公平感があり、対等なパートナーとして事業を始められる。意見が対立した際に、どちらも譲らないと意思決定が完全に停止する「デッドロック」に陥るリスクが非常に高い。
株主総会の普通決議(過半数)すら通せなくなる。
51%:49%(主導権あり)株主総会の普通決議(役員の選任・解任など)を単独で可決できるため、日常的な経営判断がスムーズに進む。比率が少ない側が不満を抱きやすい。
関係性のバランスが崩れる可能性があるため、密なコミュニケーションがより重要になる。
67%(2/3以上):33%(特別決議も単独可決)定款の変更、事業譲渡、会社の解散といった重要な経営判断(特別決議)も単独で可能。経営の自由度が格段に高まる。少数株主側の経営への影響力が著しく低下するため、共同経営の意味合いが薄れる。
貢献意欲の低下や関係悪化につながるリスクがある。

創業時の「仲が良いから大丈夫」という安易な気持ちで50:50の比率を選ぶのは避けるべきです。

どちらが最終的な意思決定の責任を負うのかを明確にするためにも、あえて差をつけることを検討しましょう。

もし対等な比率を選ぶのであれば、後述する「共同経営契約書」で、意見対立時の解決ルールを厳密に定めておく必要があります。

役員報酬の決め方

役員報酬は、経営者である自分たちへの給与であり、会社の経費(損金)として扱われます。
この金額とルールをどう決めるかは、個人の生活と会社の資金繰りの両方に大きな影響を与えます。

役員報酬の金額は、定款で定めるか、株主総会の決議によって決定するのが原則です。

2人での設立の場合、株主総会で両者が合意して決めることになります。

決め方には、主に以下の3つの考え方があります。

  • 同額にする:最も公平で分かりやすい方法です。ただし、実際の業務量や役割、成果に差が出てきた場合に、不満の原因となる可能性があります。
  • 役割や貢献度に応じて差をつける:営業担当と開発担当など、それぞれの役割に応じて報酬額を変える方法です。合理的ですが、「貢献度」を測る客観的な基準を事前に明確に合意しておかないと、評価を巡って深刻な対立を生む原因になります。
  • 最低限の生活費を基準にする:創業当初でキャッシュフローが厳しい時期に有効な方法です。お互いに必要な生活費を算出し、それを基準に報酬額を決めます。ただし、会社の成長に合わせて報酬を見直すルールも同時に決めておくことが重要です。

注意点として、役員報酬は事業年度の途中で自由に変更することはできません。

「定期同額給与」の原則により、原則として事業年度開始から3ヶ月以内に決定した金額を、その期中は毎月同額で支払い続ける必要があります。

会社の利益状況を慎重に予測し、資金繰りを圧迫しない現実的な金額を設定することが鉄則です。

利益配分のルール

会社に利益が出た場合、その利益をどう使うかを決めるのが「利益配分」のルールです。

利益の使い道は、主に「内部留保(事業への再投資)」「役員賞与」「株主への配当」の3つに分けられます。

役員報酬が「労働の対価」であるのに対し、配当は「出資に対するリターン」です。

2人で会社を経営する場合、この利益配分のルールを事前に明確にしておかないと、将来の事業戦略に大きな影響を及ぼします。

利益配分のルール作りで決めておくべきポイントは以下の通りです。

  1. 配当の基本方針を決める
    利益が出たら積極的に配当するのか、それとも事業の成長のために内部留保を優先するのか、という大方針を固めます。創業期は、事業基盤を安定させるために内部留保を厚くし、配当は行わない(無配)とするケースが一般的です。
  2. 配当の基準を具体的にする
    もし配当を行う場合、どのような基準で実施するかを具体的に定めます。「税引後当期純利益の〇%を配当原資とする」「純資産額が〇円以上になったら配当を検討する」など、数値に基づいた客観的な基準を設けることで、感情的な対立を避けることができます。
  3. 役員賞与との関係を明確にする
    利益を役員賞与として分配する方法もあります。ただし、役員賞与を経費(損金)として計上するには、「事前確定届出給与」として事前に税務署へ届出を行う必要があり、手続きが煩雑です。利益が出たからといって、期末に突然賞与を出すと、それは経費として認められず、法人税の負担が増えるため注意が必要です。

利益配分は、会社の成長戦略そのものです。

短期的な個人の利益だけを追求するのではなく、会社の未来を見据え、2人で中長期的な視点を持ってルールを構築することが、共同経営を成功に導く鍵となります。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

【手続き編】2人での会社設立に必要な全手順

いよいよ、2人で会社を設立するための具体的な手続きに入ります。

1人で設立する場合と基本的な流れは同じですが、共同経営者2人で進めるからこその注意点も存在します。

ここでは、株式会社と合同会社、それぞれの設立手順と、必要になる書類について、誰が何をすべきか明確にしながら進められるよう、詳細に解説していきます。

会社設立の流れ 準備から登記完了まで

会社設立は、事業の骨格を決める準備段階から、法務局への登記申請、そして設立後の各種届出まで、一連のステップを踏んで進めていきます。

2人で協力し、各ステップの担当を明確にしながら進めることで、スムーズな会社設立が実現します。

まずは全体像を把握しましょう。

株式会社設立の手順

株式会社は、社会的信用度が高く、資金調達の選択肢も広い形態です。
2人で設立する場合、両名が発起人となり、株式を分け合うのが一般的です。
以下の手順で進めていきましょう。

  1. 基本事項の決定
    まず、会社の憲法ともいえる定款に記載する基本事項を2人で話し合い、決定します。商号(会社名)、事業目的、本店所在地、資本金の額、発起人構成、役員構成、事業年度などを具体的に決めます。2人で設立する場合、どちらが代表取締役になるのか、取締役は両名が就任するのかといった役員構成は特に重要な決定事項です。
  2. 会社の印鑑作成
    法務局に登録する「会社実印(代表者印)」、銀行口座開設に使う「銀行印」、請求書や領収書に押す「角印(社印)」の3種類を作成するのが一般的です。登記申請までに会社実印の準備が必須となります。
  3. 定款の作成と認証
    決定した基本事項をもとに定款を作成します。作成後、公証役場にて定款の認証を受ける必要があります。この際、発起人となる2人それぞれの印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)と実印が必要になります。電子定款を利用すれば、収入印紙代4万円が不要になるメリットがあります。
  4. 資本金の払込み
    定款認証後、発起人(2人のうちのどちらか一方、または両方)の個人名義の銀行口座に、各自が引き受ける株式の対価として資本金を払い込みます。通帳のコピーと「払込証明書」を作成し、登記書類として添付します。
  5. 登記書類の作成
    法務局へ提出する登記申請書類一式を作成します。登記申請書、登録免許税納付用台紙、定款、就任承諾書、印鑑証明書、払込証明書、印鑑届書などが主な書類です。取締役会を設置しない場合、取締役全員(2人)の印鑑証明書が必要となるため、早めに準備しましょう。
  6. 法務局へ登記申請
    本店所在地を管轄する法務局に、作成した登記書類一式を提出します。この登記申請日が、会社の設立日となります。書類に不備がなければ、申請から1週間〜10日ほどで登記が完了します。
  7. 設立後の手続き
    登記完了後、会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)と印鑑証明書を取得します。その後、税務署への法人設立届出書の提出、都道府県税事務所・市町村役場への事業開始申告、年金事務所での社会保険加入手続き、労働基準監督署やハローワークへの届出など、事業を開始するための各種手続きを行います。

合同会社設立の手順

合同会社は、設立費用が安く、経営の自由度が高いのが特徴です。
出資者=経営者(社員)となり、2人で設立する場合は両名が業務執行社員となるのが一般的です。
株式会社と比べ、手続きが簡素化されています。

  1. 基本事項の決定
    株式会社と同様に、商号、事業目的、本店所在地、資本金の額、社員構成などを2人で決定します。合同会社では出資者全員が「社員」となり、原則として全員が業務執行権を持ちます。特定の1人を代表社員とすることも可能です。
  2. 会社の印鑑作成
    株式会社と同様に、会社実印、銀行印、角印などを作成します。
  3. 定款の作成
    決定した基本事項をもとに定款を作成します。合同会社の定款は、株式会社と異なり公証役場での認証が不要です。ただし、紙の定款で作成する場合は収入印紙4万円が必要になります(電子定款の場合は不要)。定款には、社員となる2人全員が記名・押印します。
  4. 資本金の払込み
    出資者(社員)の個人口座に資本金を払い込み、その払込みがあったことを証明する書類(払込証明書など)を作成します。
  5. 登記書類の作成
    登記申請書、定款、代表社員の就任承諾書、印鑑証明書、払込証明書、印鑑届書などを作成します。代表社員になる人の印鑑証明書が必要です。
  6. 法務局へ登記申請
    本店所在地を管轄する法務局へ登記申請を行います。申請日が会社設立日となります。
  7. 設立後の手続き
    株式会社と同様に、登記完了後に税務署や社会保険関係の届出を行います。

必要な書類一覧と作成のポイント

会社設立には多くの書類が必要となります。

2人で設立する場合、それぞれの個人に関する証明書類も必要になるため、誰がどの書類を準備するのか役割分担を決め、計画的に進めることが重要です。

以下に、株式会社と合同会社の設立時に一般的に必要となる書類をまとめました。

書類名株式会社合同会社作成・取得のポイント(2人設立の場合)
登記申請書必須必須会社の基本情報を記載する申請書の本体です。
法務局のウェブサイトにある雛形を利用して作成します。
定款必須(認証要)必須(認証不要)会社の根本規則。株式会社は公証人による認証が必要です。
2人とも発起人(社員)として記名・押印します。
発起人の決定書場合による不要定款で本店所在地を最小行政区画までしか定めなかった場合などに必要。
発起人全員(2人)の同意が必要です。
就任承諾書必須必須取締役や代表社員への就任を承諾する書類。
役員に就任する共同経営者、全員分の書類を作成します。
印鑑証明書必須必須取締役(取締役会非設置の場合)や代表社員など、役職に応じて必要です。
発行から3ヶ月以内のものが必要なため、取得タイミングに注意しましょう。
払込証明書必須必須資本金が払い込まれたことを証明する書類。
発起人または社員の個人口座の通帳コピーと合わせて作成します。
印鑑届書必須必須会社の実印を法務局に登録するための書類です。
代表取締役(代表社員)が届け出ます。
登録免許税納付用台紙必須必須登録免許税分の収入印紙を貼り付ける台紙です。
株式会社は最低15万円、合同会社は最低6万円が必要です。

これらの書類は、自分たちで作成することも可能ですが、記載ミスや不備を防ぐためには、司法書士などの専門家に依頼することも有効な選択肢です。

特に2人での設立は、お互いの認識を合わせながら進める必要があるため、専門家を交えることで、より確実かつ円滑に手続きを進めることができます。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

【リスク管理編】2人だからこそ備えたいトラブル対策

信頼できるパートナーと始める2人での会社経営は、大きな強みとなる一方で、人間関係の悪化が事業の存続を揺るがす最大のリスクにもなり得ます。

どんなに仲が良くても、お金や経営方針を巡る意見の対立は起こり得るものです。

感情的なもつれに発展する前に、ビジネスライクな解決策をあらかじめ用意しておくことが、2人で事業を成功させるための必須条件と言えるでしょう。

この章では、起こりうるトラブルを想定し、その具体的な対策を解説します。

意見が対立した場合の解決方法

経営判断において、2人の意見が完全に一致し続けることは稀です。

重要な局面で意見が割れたとき、事業を停滞させないためのルールを事前に決めておく必要があります。

まずは徹底的に議論することが大前提ですが、それでも結論が出ない場合に備えましょう。

最も効果的なのは、会社設立時に「共同経営契約書」や「株主間契約書」で対立時の解決プロセスを明文化しておくことです。

感情的になる前の冷静な状態で合意したルールは、いざという時の羅針盤となります。

デッドロック条項(Deadlock Clause)の具体例

重要な経営マターで意見が膠着状態(デッドロック)に陥った際の解決方法を、あらかじめ定めておきましょう。
代表的なものには以下のような方法があります。

解決方法内容と特徴
タイブレーク(議長決裁)あらかじめ議長役(例:代表取締役)を決めておき、賛否が同数の場合に議長が最終決定権を持つというルールです。
迅速な意思決定が可能ですが、議長の責任が重くなります。
第三者の仲介(メディエーション)顧問弁護士や税理士など、双方から信頼されている中立的な第三者に仲裁を依頼する方法です。
客観的な視点から、双方にとって納得感のある妥協点を探ることができます。
バイセル・オプション(ショットガン条項)一方のパートナーが、相手の持つ株式(または持分)の買取価格を提示します。
提示された側は、その価格で「自分の株式を売却する」か、逆に「相手の株式を同価格で買い取る」かを選択しなければなりません。
関係解消の最終手段であり、導入には慎重な検討が必要です。

どの方法を選択するかは、2人の関係性や会社の状況によって異なります。

専門家と相談しながら、自社に合ったルールを定めましょう。

どちらかが辞めるときの株式や持分の取り扱い

「パートナーの独立」「病気や死亡」「能力不足による解任」など、共同経営者が会社を去る可能性は常にあります。
その際に最も問題となるのが、辞めるパートナーが保有する株式や持分の扱いです。

もし何の取り決めもなければ、辞めたパートナー(あるいはその相続人)が株主として残り続け、経営に口出ししたり、最悪の場合、競合他社など好ましくない第三者に株式が渡ってしまうリスクがあります。

こうした事態を防ぐため、株式や持分の買取ルールを厳密に定めておくことが極めて重要です。

株式会社の場合は、定款で「株式の譲渡制限」を設けることが大前提となります。

株式・持分の買取ルールで決めておくべきこと

パートナーが会社を離脱する際に、残るパートナーまたは会社が、その株式・持分を強制的に買い取れるようにする「みなし譲渡条項」を契約書に盛り込みます。
その際、特に重要なのが「買取価格の算定方法」です。

価格の算定方法は、後々のトラブルを避けるため、誰が見ても明確で客観的な基準でなければなりません。
例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 直近決算書の純資産額を基準にする(純資産価額方式)
  • 会社の収益力を基準にする(収益還元方式)
  • 公認会計士や税理士など、第三者機関による算定額とする
  • あらかじめ双方合意の上で固定額を決めておく

買取価格は、円満な関係解消の鍵を握る部分です。
安易に決めず、税理士などの専門家を交えて慎重に協議しましょう。

共同経営契約書で定めるべき項目

これまで解説してきたリスク対策は、すべて「共同経営契約書」(株式会社の場合は「株主間契約書」とも呼ばれます)という形で書面に残すべきです。
これは、定款だけではカバーしきれない、共同経営者間の細かな約束事を定めるための契約書です。

口約束は記憶違いや解釈の違いを生み、トラブルの元凶となります。

ビジネスパートナーとして長期的な信頼関係を築くためにこそ、法的な拘束力を持つ契約書が必要なのです。

契約書に盛り込むべき主要項目

共同経営契約書には、少なくとも以下の項目を盛り込むことを推奨します。

  • 会社の経営理念・ビジョン
  • 各パートナーの役割分担、権限、責任の範囲
  • 役員報酬や賞与の決定ルール
  • 利益の配分に関するルール(配当方針)
  • 意思決定のプロセス(通常決議と特別決議の範囲)
  • デッドロック(意見の膠着状態)発生時の解決方法
  • 競業避止義務および秘密保持義務(在任中および退任後)
  • パートナーの離脱(退職、解任、死亡など)に関する規定
  • 株式や持分の譲渡制限、および買取に関するルール(買取価格の算定方法を含む)
  • 契約の有効期間、見直し、解除に関する条項

共同経営契約書は、2人の会社の「憲法」とも言える重要な書類です。

インターネット上のテンプレートを安易に流用すると、自社の実情に合わず、いざという時に機能しない可能性があります。

必ず弁護士などの専門家に相談し、自社の状況に合わせてオーダーメイドで作成してもらうようにしてください。

まとめ

2人での会社設立は、強みを掛け合わせることで1人以上の力を発揮できる大きな可能性があります。

しかし、その成功は、設立前の準備で決まると言っても過言ではありません。

感情的な対立を避け、事業を円滑に進めるためには、パートナーとの間で「ルール」を明確に定めることが最も重要です。

役割分担、報酬や利益の配分、意見が対立した際の解決方法などを事前に徹底的に話し合い、「共同経営契約書」として書面に残しましょう。

これが、信頼関係を維持し、長期的な成功を掴むための最善策です。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順
>経営サポートプラスアルファ ホールディングス

経営サポートプラスアルファ ホールディングス

経営サポートプラスアルファホールディングスは税理士法人や行政書士法人などを含むグループ会社経営によって、従来の会計業界の常識にとらわれることなく、クライアントの成長フェーズに合わせた幅広い事業展開を行っております。
時代の変化に伴いお客様のニーズを拾い上げ付加価値を追求してきた結果として今の体制、サービスがあります。
そしてこれからも起業家のサポーターとして「経営サポートプラスアルファ」という社名の通り、付加価値となるプラスアルファを追求していきます。